国民健康保険における医療費適正化取り組みについて

記事番号: 1-410

公開日 2024年05月29日

 

 国民健康保険の被保険者数は年々減少傾向ですが、被保険者一人当たりの医療費は年々増加傾向です。令和5年度は、令和4年度に比べ7,734円増加、令和元年と比較すると、31,331円も増加しています。

 

     令和5年度‗国保1人当たり医療費PNG

   令和5年度総医療費 : 97億4,889万3,324円(被保険者1人当たり 385,713円) 

   年間平均被保険者数 : 25,275人

 

 国保データシステム(KDB)によると、令和5年度の大分類(大きく20に分類されたデータ)の合計医療費が最も高い疾病は循環器系の疾病で、約11億2,300万円もかかっています。循環器系の疾病には、高血圧症、心疾患(狭心症、心筋梗塞、心不全や弁膜症など)、脳血管疾患(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞など)、動脈硬化症などがあります。また、中分類(大分類より細かく122に分類されたデータ)では、糖尿病の重症化に多い慢性腎不全の合計医療費が最も高く、約6億2,000万円もかかっており、その多くは人工腎臓(透析)によるものです。浦添市の国民健康保険の医療費は、生活習慣病とその重症化した疾患が、全体の約5割を占めています。

 

 5歳ごとの一人当たり医療費によると、感染症などが多い乳幼児期から減少する医療費は、25歳あたりから増加に転じ、伸び続けています。25歳くらいからは、高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病が増え始めますし、45歳頃から脳卒中、心筋梗塞や透析など、重症化して医療費が高くかかってしまうことが大きな要因と考えられます。また、60歳以上になると老化に伴う疾病(白内障や黄斑変性症などの眼疾患や変形性関節症などの筋骨格系の疾患など)も増えてきますので、医療費の伸びに拍車がかかっています。

 

令和5年度‗5歳毎1人当たり医療費

 

 

  生活習慣病は、特定健診を受けて今の健康状態を知ることで、早期発見、早期治療ができ、重症化を防ぐことができます。あの時受けていれば・・・と後悔しないためにも、ぜひ、特定健診やガン検診を受けましょう。

 

 浦添市では医療費適正化の取り組みとして下記のことを行なっています。

    

【取組1】 特定健診の受診率UP!!!

    特定健診を受けると生活習慣病の早期発見につながります。

    早期発見・早期治療が健康と生活を守ります。

    倒れてからでは手遅れです。

   令和5年度まで 国民健康保険被保険者証に特定健診の受診券が付いていましたが、令和6年度より健康づくり課から受診券を郵送しています。受診券を、国民健康保険被保険者証やマイナンバー保険証と一緒に提示することで、かかりつけ医またはお近くの病院や診療所で受けることができます。(予約が必要な場合もありますので、受診したい保険医療機関へお問い合わせください。)また、保健センターで集団検診を受けることもできますので、日程を確認し、ご自分の都合の良い方法で受診しましょう。

    なお、健康づくり課より、受診を促す通知や電話を差し上げています。詳しくはこちら

    年に1度は特定健診を受けましょう!!!!!

 

  令和5年度受診率(令和6年10月11日時点)

             30.0%(目標 60%)  ✻前年度より0.4ポイント減・・・県内最下位です。

       ★沖縄県内41市町村平均 34.5%

                              沖縄県国保41市町村中 41位・・・昨年度は40位でした。

 

【取組2】 ジェネリック医薬品の利用促進

  ジェネリック医薬品は先発医薬品に比べて薬価が安いにもかかわらず、品質、安全性及び有効性は先発医薬品と変わりませんので、高価な先発医薬品と代替可能な医薬品と位置づけることができます。

    ジェネリック医薬品の使用を促進することによって、

    (1) 皆さまの薬剤費の自己負担の軽減

    (2) 医療の質を落とすことなく、医療の効率化(医療費の削減)を図ること

    が可能となります。

    ジェネリック医薬品へ変更希望する際には、主治医や薬剤師と十分にご相談ください。

 

◎「ジェネリック医薬品利用促進のお知らせ」について

  浦添市では、ジェネリック医薬品を利用した場合に、薬局窓口で支払う金額がどのくらい軽減できるかを知っていただき、皆さまの負担軽減と国民健康保険の医療費の適正化を目的に、お知らせのはがきを年4回送付しています。お知らせには、2ヶ月前に利用した薬局名、調剤された薬品名、薬品の単価や軽減見込額等を記載しています。

 

   令和6年8月分ジェネリック利用率    :      91.08%   (沖縄県国保41市町村中 27位)

                                                     ★ 沖縄県国保(平均)90.54%

 

  ※  ジェネリック医薬品については、厚生労働省の「ジェネリック医薬品Q&A」をご覧ください。

 

 セルフメディケーションについて

 セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(WHOの定義)です。具体的には、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠・休息を心がけ、体調管理(体温・体重・血圧等の測定、健康診断受診等)を継続するなど、日頃から自分の健康状態と生活習慣をチェックし、ちょっとした体調不良の際に、市販薬などを上手に使って自分自身で健康の維持や病気の予防・治療にあたることです。セルフメディケーションを推進していくこと、つまり、ご自身の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進することで、健康の維持、生活習慣病の予防や改善、重症化予防、ひいては健康寿命の延伸を目指すことにもなり、結果的に医療費の適正化にもつながります。 

 平成29年1月1日以降、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除(セルフメディケーション税制(医療費控除の特例))を受けることができるようになりました。薬局で市販薬を購入した際の領収証に★印などでスイッチOTC医薬品(セルフメディケーション税制対象医薬品)であることが分かるようになっていますし、陳列棚にも表示されていることがあります。セルフメディケーションに取り組んでいる方で、ちょっとした体調不良で市販薬を購入する際は、このスイッチOTC医薬品を購入されることをお勧めします。この控除を受ける場合、セルフメディケーションに取り組んでいることが条件で、通常の医療費控除を受けることができませんので、ご注意ください。詳しくは こちら

 

 ◎ リフィル処方せんをご存知ですか?

 リフィルとは、補充、詰め替え(refill)という意味で、リフィル処方箋とは、繰り返し使用できる処方せんのことです。症状が安定しており、長期間同じ薬をもらっている患者に対し、医師が「リフィルによる処方が可能」と判断した場合に、医師によって定められた回数(処方箋1枚で最大3回まで)と期限内で繰り返し使うことができます。2022年4月から導入されました。

  リフィル処方せんの対象になる患者

         主に慢性病などで医師の診療にて症状が安定しており長期間処方が可能と判断された患者

  リフィル処方せんで処方できない薬剤

         投与量に限度が定められている医薬品及び湿布薬(例:麻薬、向精神薬、湿布薬、新薬 など)

  リフィル処方せんの使用期限と薬を受け取れる期間

         1回目受付:通常の処方せんと同様、発行日を含めて 4日間

         2回目~3回目の受付:次回調剤予定日の前後7日以内

  リフィル処方せんのメリット

     ・通院負担が減る(時間や通院費が減る)

     ・医療費の節約につながる(医師の診察が2~3回減るため)

     ・感染症にかかるリスクが減る

     ・2回目以降の場合、薬を受け取る日が比較的自由に決められる(次回調剤予定日の前後7日以内)

  リフィル処方せんのデメリット

     ・診察や検査を受ける機会が減る 

     ・処方せんを保管しておかなければならない

     ・いつでも薬を受け取れるわけではない(次回調剤予定日の前後7日以内に限る)

     ・処方せんを紛失した場合、自費での再発行もしくは再受診が必要となる

      (再発行の場合、保険が適用できませんので、診察料や処方せん料などの費用は全額自費になります)              

 

 ★注意事項

  ・リフィル処方せんを受け取っていても、気になる症状や体調変化がある場合には、医師の診察を受けることができます。

  ・保険調剤薬局の薬剤師による患者の服薬状況等の確認や観察を行った結果、リフィル処方せんにより調剤することが不適切と判断されてリフィル処方せんが無効になり、改めて保険医療機関の受診が必要となる場合があります。

 ・リフィル処方せんの交付を受けた患者は、継続的な薬学的管理のため、同じ薬局で調剤を受けることが推奨されています。     

 

 ※ リフィル処方せんを利用したい方は、かかりつけ医にご相談ください、また、自宅や職場などの近くに、相談しやすく、信頼でき、調剤予定日が近づいたら連絡をくれる「かかりつけ薬局」を選んでおくことをお勧めします。

 

● リフィル処方せんが導入される以前から「分割調剤」という制度も導入されています。

  下記の①と②の場合は薬剤師の判断でも実施が可能(ただし医師への連絡や報告は必要)ですが、最大3分割までです。

  ③の場合はリフィル処方せんの仕組みと類似していて、医師の判断で3回を限度に分割での薬剤受け取りが可能ですが、処方箋は分割回数分の処方箋と分割指示の処方箋が必要です。(例えば90日分を3回に分割だと、処方箋は3枚、分割指示の処方箋が1枚、計3枚)

 分割調剤のケース ①14日を超える処方で、長期保存が困難な薬剤が処方された等の場合

          ②初めて後発医薬品(ジェネリック医薬品)を服用する場合

          ③医師の指示による場合(患者の状態は安定しているものの、服薬管理が難しい場合など)

 

● 分割調剤とリフィル処方せんの違いは、調剤を行う日数があらかじめ決められているかどうかという点です。

 

 

 

【取組3】 柔道整復師(整骨院・接骨院)への適正なかかり方   

    柔道整復師の施術は、健康保険の対象となる場合とならない場合があります。

    そのため、文書や電話による照会を行っています。送付された調査票や電話調査にご協力ください。

    詳細はこちら  

◎ 使えます ◎ × 使えません ×

◎ 捻挫・打撲・挫傷(肉離れなど)       

 

◎ 骨折・脱臼の応急手当

  (医師の同意があればその後の施術も可能)

 

× 医師の同意のない骨折・脱臼の施術

× 日常生活からくる単なる肩こり、筋肉疲労、慰安目的など

× 病院や診療所で同じ負傷などの治療中

× 捻挫や打撲が完治した後のマッサージ代わりの利用        

× 病気(神経痛、リウマチ、五十肩、関節炎など)からくる痛みやこり

× 脳疾患後遺症などの慢性的な症状                                               など

 

 

【取組4】 重複受診・頻回受診・重複服薬者への保健指導

 同じ病気で複数の病院や診療所に受診することを「重複受診」といい、同じ効能の薬を複数の病院や診療所から処方してもらい服用していることを「重複服薬」といいます。また、同じ病院や診療所に月に何度も受診することを「頻回受診」といいます。

 「重複受診」や「重複服薬」は、ご自身の医療費の負担が大きくなるだけではなく、同じ検査を短期間で繰り返したり薬の効き目が過剰になることにより体に負担を与え、別の病気を引き起こしてしまう心配があります。また、「頻回受診」は、不必要な受診のために医療費を押し上げる要因のひとつです。

 そこで、浦添市では健康づくり課の保健相談員(保健師・看護師)による訪問指導を実施しています。

  ・重複受診については、同じ病気で同月内に2カ所以上の病院や診療所に3カ月以上受診している被保険者

  ・重複服薬については、同月内に2カ所以上の病院や診療所から同じ効能の薬剤を3カ月以上処方されている被保険者

  ・頻回受診については、同一病院や同一診療所に月10日以上かつ3カ月以上受診している被保険者(精神科の治療の一部、透析やリハビリなど、医師が必要と認め、頻繁に受診するよう指示されている場合を除きます)

    訪問指導を受けた場合は、病院や診療所へのかかり方を見直してみましょう。

 

【取組5】 「医療費のお知らせ」について

   「医療費のお知らせ」とは、受診した医療機関等の名称、医療費等が記載された通知のことです。

     この「医療費のお知らせ」は、皆さまが病気やケガのため病院や診療所などで受診された場合、その医療費がどのくらいかかり、その支払いはどうなっているのかを知っていただくとともに、健康管理の大切さと、国民健康保険事業に対するご理解をいただくためのものです。

  浦添市では、この「医療費のお知らせ」を年3回(8月末に1月診療分から5月診療分、翌年1月末に6月診療分から10月診療分、3月末に11月診療分から12月診療分)送付しています。

   「医療費のお知らせ」を保管していただくと、ご自身の医療費の経緯を確認することができるだけでなく、所得税の医療費控除の申告手続きで医療費の明細書としても使用することができます。(ただし、毎年11月診療分から12月診療分については、病院・診療所などからの領収書に基づき作成した医療費控除の明細書を添付する必要があります。)

    ✻記載内容の違い(領収証と違うなど)や、身に覚えのない受診記録などがありましたらご連絡ください。

 

※ 医療費通知を医療費控除にお使いになる方へ

  医療費通知は、申告の際、資料として添付できるものとなっていますが、次の点にお気を付けください。

  ・保険対象外の診療は記載されません。(国保としても情報を把握できません。)

  ・審査による減額があった場合は、領収書と記載金額に相違が出る場合があります。

  ・病院等からの月遅れ請求があった場合、記載されないことがあります。

  ・毎年11月診療分から12月診療分については、確定申告に間に合わない(3月末にしか送付できない)ため、病院・診療所などからの領収書に基づきご自身で作成した医療費控除の明細書を添付する必要があります。なお、マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルにて毎年原則2月9日に前年1月から12月分の医療費通知情報が取得可能となりますので、ご活用ください。詳しくはマイナポータルはこちら、国税庁はこちら

  医療費控除の申告に関することは、北那覇税務署(電話:098-877-1324)にお問い合わせください。    

 

 

 

 ~~ご自身の健康維持

          そして浦添市の医療費の伸びを抑えるために

          できることからご協力をお願いします~~

 

 

  

 

 

この記事に関するお問い合わせ

福祉健康部 国民健康保険課
郵便番号:901-2501
住所:沖縄県浦添市安波茶一丁目1番1号本庁1階
TEL:098-876-1288
FAX:098-874-5030
お知らせ:問い合わせメールはこちら

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