公開日 2012年01月27日
更新日 2014年10月31日
2011年度 第Ⅲ期常設展
技x美 ~時代を彩る漆器たち~
会期:2012年1月27日(金)~5月27日(日)
数千年という長い歴史の中で、漆は各地独自の文化に基づきながら「美意識」と結びつき、加飾技法を多種多様に発展させました。琉球の主な加飾技法は沈金(ちんきん)・螺鈿(らでん)・箔絵(はくえ)・密陀絵(みつだえ)・漆絵(うるしえ)・堆錦(ついきん)など多彩で、中国の影響を強く受けてきましたが、更に東南アジアや日本の要素も盛り込まれた作品も数多く残っています。こうした、漆・技・美の融合は漆芸の歴史を鮮やかに彩り、優れた漆器をこの世に誕生させて来ました。今期は、琉球漆器を中心に日本や東南アジア各地で作られた様々な漆器を、「技」と「美」に視点をおいてご紹介します。
第1室
沈金・箔絵・蒔絵 −金色の輝き−
色彩の中でも独特の輝きを放つ金色。上品かつ豪快な金の威力が唯一無二の存在感を感じさせてくれます。第1室では沈金・箔絵・蒔絵といった金色で加飾された漆器が登場します。沈金は15~16世紀に技術及び文様ともに頂点に達したとされ、琉球においては最も古い加飾技法の一つです。箔絵は17~18世紀頃に形式化された山水図などの作品に多く用いられた加飾技法です。一方、蒔絵と言えば日本を代表する技法ですが、琉球漆器には見られない四季折々の豊かな景色が文様として用いられるのが日本独特の様式です。琉球と日本の漆器を比較しながら、相違点や新しい発見を探してみると本展をより一層楽しむことが出来るでしょう。
黒漆孔雀牡丹唐草沈金食籠 | 朱漆山水楼閣箔絵提重 |
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第2室
螺鈿 −七色のひかり−
琉球王国では王府の下に「貝摺奉行所」という組織が存在していました。その名前から、夜光貝などの貝を使った螺鈿技法の琉球漆器がいかに盛んであったという事がうかがえます。螺鈿技法は貝の内側の虹色光沢を持った真珠層の部分を薄く研磨したものを、さまざまな文様の形に切り取り、漆面に貼って加飾する技法のことです。螺鈿という名の由来は、螺は貝、鈿はちりばめることを意味しています。第2室では、昔から各地の人々に愛されてきた七色に光る螺鈿の漆器を当館収蔵品の中から15点展示いたします。琉球をはじめ東南アジアや日本で作られた螺鈿の漆器をじっくりとご覧になり、作品によって異なる貝の厚さ、作品の角度や照明などの光の具合によって変化する貝の美しさをぜひご堪能ください。
黒漆七宝繋螺鈿印籠 | 朱漆牡丹尾長鳥螺鈿卓 |
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第3室
漆絵・密陀絵 −豊かな彩うるし−
彩とりどりの漆によって美しく描かれた漆器をご覧ください。第3室は漆絵・密陀絵という技法を紹介します。朱・緑・黄色・白などの漆で豊かな色彩と、まるで絵画のように細部までこだわったものや大らかな線で描かれた様々な作品が目を惹きます。作品に残された多才な表現から漆芸の奥深さを感じてみましょう。
朱漆柘榴漆絵皿 | 黒漆楼閣人物密陀絵箱 |
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第4室
堆錦・堆彩漆 −凸凹を楽しむ−
第4室は堆錦・堆彩漆の技法です。堆錦は顔料が混ぜられた堆錦餅という材料を用いており、堆彩漆は立体的に造形した後に上から着彩しているのが特徴です。同じ凹凸の表現でも一目見ただけでは技法の区別が難しく、国や地域によって技法も異なります。他の技法に比べても特に表現力に優れた堆錦・堆彩漆の漆器をお楽しみください。
朱漆山水人物堆錦刀掛 | 潤塗鳳凰瑞雲堆彩漆提蓋物 |
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第5室
漆を科学する
この部屋では漆を科学すると題し、漆器を科学分析することで分かったことなどを作品とともに紹介します。
黒漆花鳥箔絵密陀絵盆 | 黒漆花鳥箔絵密陀絵盆(X線写真) |
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会期 | 2012年1月27日(金)~5月27日(日) |
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開館時間 | 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで) ※金曜日は午後7時まで(入館は午後6時30分まで) |
観覧料 | 一般150円(120円)、大学生100円(80円)、小・中・高生無料 ※( )は20人以上の団体料金です。 |
休館日 | 月曜日 ※ただし祝日または振替休日に当たる場合は開館します。 |
会場 | 浦添市美術館 |
解説会 | 2012年2月11日(土)、3月10日(土)、4月14日(土)、5月12日(土) ※毎月第2土曜日に開催しています。 ※毎回午後2時から1時間程度行います。 ※参加には常設展観覧料金が必要です。 |
その他 | 音声ガイドを無料でご利用いただけます。 ご希望の方は受付にてお申し付け下さい。 (対応言語:日本語、英語) |
担当学芸員 |
又吉 さやか Sayaka MATAYOSHI (九州産業大学美術館での勤務を経て 平成22年度より浦添市美術館の実習教室、体験教室などの 教育普及活動を担当。) |