主な収蔵品

公開日 2014年10月20日

更新日 2023年09月01日

沖縄県指定有形文化財 5件


作品名:朱漆牡丹尾長鳥螺鈿卓
(しゅうるしぼたんおながどりらでんしょく)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:31cm 縦:31.8cm 横47.3cm

長方形の入角の天板に花くりの足を付け、畳付を廻らした卓です。天板には牡丹や尾長鳥、竹や下 草を螺鈿で表しています。朱漆と螺鈿の組み合わせは16~17世紀頃の特徴で、貝の下に白い下地を用いて貝の白さを際立たせ、厚みのある表現にしています。 


作品名:黒漆葵紋菊螺鈿箱
(くろうるしあおいもんきくらでんはこ)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:11.3cm 縦:12.6cm 横:10.3cm

黒漆塗りに螺鈿で文様が表された深い被蓋造りの箱です。蓋には徳川家の葵紋が、身側面には琴・囲碁・書道・絵画を嗜む人物を表した琴棋書画図が施され、周りを亀甲花菱文でうめ尽くし細密な螺鈿の技が光る作品です。


作品名:黒漆雲龍螺鈿大盆
(くろうるしうんりゅうらでんおおぼん)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:9.3cm 直径:85.3cm

黒漆塗りの大型の盆で、見込みに螺鈿で火焔宝珠に五爪の双龍、瑞雲などが、鍔に四つの窓枠を設け、各枠内に羽根扇・団扇・払子・宝巻の吉祥文様が施されています。同形の大型盆は四例のみ確認されている数少ない貴重な作品です。


作品名:黒漆牡丹唐草螺鈿卓
(くろうるしぼたんからくさらでんしょく)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:10.3cm 縦:23.7cm 横:36.5cm

黒漆塗りに螺鈿で文様が施された小形の卓です。天板と足に大ぶりの牡丹唐草文が配されています。螺鈿は薄い貝を大きく用い、花文などの貝の裏には金箔を貼る裏彩色の切貝技法も用いられ、貝と金の色彩がひときわ目を引きます。天板裏には「中山宇根良方製之」の銘があります。


作品名:朱漆花鳥螺鈿箔絵密陀絵机
(しゅうるしかちょうらでんはくえみつだえつくえ)
制作地:琉球
制作年代:16~17世紀
技法:螺鈿(らでん)、箔絵(はくえ)、密陀絵(みつだえ)

高さ:25.7cm 縦:48cm 横:111.6cm

朱漆に様々な技法を用いて花鳥を表した大形の机です。天板に密陀絵で尾長鳥とカワセミ、牡丹や菊などが描かれており、側面から足にかけては螺鈿と箔絵で花枝や唐草があしらわれています。机全面に施された文様が華やかな作品です。

 

浦添市指定有形文化財 44件

漆芸分野


作品名:緑漆鳳凰雲点斜格子沈金丸櫃
(りょくしつほうおうくもてんしゃごうしちんきんまるびつ)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:沈金(ちんきん)

高さ:17.4cm 直径:19.7cm

丸櫃は国王が任命した神女に与えられ、勾玉の首飾りを入れていたようです。本品には鳳凰や瑞雲が沈金で表されており、鳳凰は良い君主の出現を、瑞雲は縁起の良いものとされ、古琉球王権の象徴として琉球王国時代の碑文などにも見られます。


作品名:朱漆花鳥沈金膳
(しゅうるしかちょうちんきんぜん)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:沈金(ちんきん)

高さ:2.5cm 縦:36.9cm 横:36.8cm

入角の膳で、見込み中央に沈金で双鳥や牡丹、岩が表されています。表は朱漆塗り、見込み周辺は緑漆塗りで、二重界線の枠内に唐草と七宝繋を配し、側面の立ち上がりは花弁文でうめています。16~17世紀の沈金の優品です。


作品名:朱漆山水人物沈金足付盆
(しゅうるしさんすいじんぶつちんきんあしつきぼん)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:沈金(ちんきん)

高さ:20.2cm 直径:44cm

御玉貫(酒入れ)や食籠をこの盆の上にのせて祭事に用いました。足の部分に中国的な琴棋書画人物図が、見込みには山水人物図が沈金で緻密に表された優美な作品です。


作品名:緑漆牡丹唐草石畳沈金膳
(りょくしつぼたんからくさいしだたみちんきんぜん)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:沈金(ちんきん)

高さ:4.1cm 縦:36cm 横:36.4cm

角切の膳で底に低い足が付きます。緑漆塗りに沈金で見込みに牡丹唐草文、その周囲に斜格子状の石畳文が施されています。緻密な線で表された沈金が16~17世紀の作品であることを示しています。


作品名:朱漆牡丹巴紋七宝繋沈金足付盆
(しゅうるしぼたんともえもんしっぽうつなぎちんきんあしつきぼん)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:沈金(ちんきん)

高さ:16.3cm 直径:40.5

朱漆塗りに沈金で文様が施された丸い足の付いた盆です。足の側面には七宝繋ぎの地文に尚王家の紋である左巴紋と牡丹が配されています。文様が密でなく沈金の刻線がしっかりしているなど18~19世紀の沈金技術がよく表れている作品です。


作品名:朱漆寒山拾得螺鈿四方盆
(しゅうるしかんざんじっとくらでんよほうぼん)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:2.3cm 縦:19.5cm 横:19.5cm

朱漆に螺鈿で中国唐代の画題で寒山拾得の図が表された四方盆です。禅僧の寒山が経巻を開き、拾得がほうきを持つ構図は禅画の画題として中国や日本にも見られます。


作品名:朱漆梅月螺鈿六角盆
(しゅうるしばいげつらでんろっかくぼん)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:6.1cm 直径:40.7cm

老梅樹と三日月が螺鈿で表された六角形の盆で中国の画題として良く用いられます。使用しているのは薄貝ですが、貝の下に白色の下地を施すことで、より白く厚貝のようにみせています。


作品名:黒漆雲龍鳳凰螺鈿長文箱
(くろうるしうんりゅうほうおうらでんながふばこ)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:6.8cm 縦:37.5cm 横:8.8cm

文箱は、手紙や書状などを入れる細長い箱で手紙などを送る時にも用いられます。被蓋造りの蓋上面には螺鈿で亀甲文の地文に三爪の珠取双龍と瑞雲が、側面には鳳凰と瑞雲が縁起の良い文様として表されています。


作品名:黒漆菱七宝繋螺鈿伽羅箱
(くろうるしひししっぽうつなぎらでんきゃらばこ)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:10cm 縦:10.6cm 横:15.2cm

深い被蓋造りの蓋と身の側面は朱漆塗り、他は黒漆塗りで蓋表中央に菱形文で飾ります。箱内には三つの蓋付小箱が納められ、螺鈿や網代、切金などで七宝繋と草花があしらわれています。最高級の香木(伽羅など)を納めていたことがうかがえます。


作品名:黒漆麒麟葡萄栗鼠螺鈿重香合
(くろうるしきりんぶどうりすらでんかさねこうごう)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:11.3cm 縦:10.3cm 横:10.3cm

二段重ねの香合で、螺鈿と密陀絵で蓋表に麒麟、側面に葡萄栗鼠文が表されています。蓋と各段の側面に一匹ずつ配された栗鼠は、それぞれ異なる姿で表情豊かに描かれています。香合とはお香を収納する容器のことです。


作品名:黒漆山水人物螺鈿輪花盆
(くろうるしさんすいじんぶつらでんりんかぼん)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:5cm 縦:37.2cm 横57.7cm

黒漆塗りに螺鈿で山水人物図が施された輪花形の楕円盆です。細かな貝をちりばめたり、様々なかたちの貝片で文様が表されたりするほか、部分的に金や錫が貼られるなど、琉球王国時代の螺鈿技術の多様さがうかがえます。


作品名:黒漆雲龍螺鈿盆
(くろうるしうんりゅうらでんぼん)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:3.9cm 直径:34.2cm

中国皇帝を象徴する格式高い五爪龍の螺鈿盆です。本品は17~19世紀に琉球王府の貝摺奉行所(漆器製作組織)で盛んに作られました。中国皇帝へ献上された記録が残っており、現在の中国北京故宮博物院に300枚余の収蔵が確認されています。


作品名:黒漆楼閣人物螺鈿八角食籠
(くろうるしろうかくじんぶつらでんはっかくじきろう)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:20.6cm 縦:27cm 横:27cm

黒漆塗りに螺鈿で琴棋図が表された八角形の食籠です。貝には毛彫りが施され、各面に置いた五弁花には貝の裏に金箔を貼るなど工夫を凝らしています。沖縄では八角食籠をクイチクンとも呼びます。


作品名:黒漆藻魚千鳥螺鈿八角食籠
(くろうるしそうぎょちどりらでんはっかくじきろう)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:30.7cm 縦:29.4cm 横:29.4cm

八角形の二段食籠に螺鈿で水辺の生き物を表しています。上部に水辺を自由に飛び交う千鳥、下部に水草や魚が描かれています。一部の水草に金箔を用いたり、細かく砕いた貝をちりばめたりして、食籠全体がキラキラと輝く水辺のようです。


作品名:黒漆騎馬人物螺鈿箱
(くろうるしきばじんぶつらでんばこ)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:15.2cm 縦:40.5cm 横:28.6cm

表には、中国の説話が描かれています。嫁ぎ先である北方の異国へと向かう王昭君が琵琶を抱えて馬に乗る様を表した明妃出塞図が施されています。螺鈿の貝とともに、金を貼った切金の輝きがアクセントとなり彩りがあふれています。


作品名:黒漆桐鳳凰螺鈿東道盆
(くろうるしきりほうおうらでんトウンダーブン)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:26.2cm 縦:34.5cm 横:34.5cm

もてなしの際に料理を盛りつける蓋付きの盆で中に小皿を組み込みます。外面に鳳凰と桐の木が螺鈿で表されています。鳳凰は名君の治世に出現する瑞鳥で梧桐が住処とされています。「鳳凰」と「桐」の組み合わせは染織品や画題などにもみられます。


作品名:黒漆山水人物螺鈿衝立
(くろうるしさんすいじんぶつらでんついたて)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:125cm 縦:114cm 横:39.5cm

黒漆塗りに螺鈿で山水人物図を表した衝立です。表面に、鶴が飛び交い、樹花が咲き乱れる中で茶を飲み書画を楽しむ高士たち、裏面には「瑞雲仙左右宝源南表壽」という長寿を祝う詩文が表されています。衝立は部屋の中などに立てて、仕切りや目隠しにする家具のことです。


作品名:黒漆楼閣人物螺鈿飾棚
(くろうるしろうかくじんぶつらでんかざりだな)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:80cm 縦:76cm 横:34cm

黒漆塗りに螺鈿で文様が表された飾棚です。上段の引き戸に楼閣人物図、中段左に柳下人物図、右側引き出しに宝尽文、下段引き出しには花虫図がそれぞれ窓枠内に配され、枠外は亀甲花菱文でうめ尽くされています。


作品名:黒漆山水人物螺鈿阿古陀形煙草入
(くろうるしさんすいじんぶつらでんあこだがたたばこいれ)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:7.5cm 直径:7.2cm

あこだ瓜の形をした刻み煙草入れで、文様は螺鈿で表されています。身側面に花菱文で枠を設け、正面枠に杖を携えた寿老人が描かれています。瓜形の身と象牙の瓜の緒締め、瓢箪の根付けの取り合わせが洒落た煙草入れです。


作品名:黒漆葡萄栗鼠螺鈿箔絵料紙箱
(くろうるしぶどうりすらでんはくえりょうしばこ)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:螺鈿(らでん)、箔絵(はくえ)

高さ:15cm 縦:41.5cm 横:31.2cm

料紙や草紙などを入れる道具で、黒漆に螺鈿で葡萄と栗鼠の文様があしらわれています。料紙箱は硯箱とセットで大名への贈り物として数多く作られました。子孫繁栄を意味する葡萄と栗鼠の組み合わせた漆器は琉球や韓国でよく見られる吉祥文です。


作品名:潤塗葡萄栗鼠螺鈿箔絵硯箱
(うるみぬりぶどうりすらでんはくえすずりばこ)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)、箔絵(はくえ)

高さ:6.4cm 縦:26.6cm 横:21.6cm

螺鈿と箔絵で蓋身に葡螺鈿萄と栗鼠を表した硯箱です。硯箱は墨や硯、筆、水滴(墨を研ぐための水をいれておく容器)などを納めます。被蓋造りで側面を波形に細工し玉縁を付し、身には花刳りの台座がつきます。


作品名:黒漆吉祥文螺鈿箔絵箱
(くろうるしきっしょうもんらでんはくえはこ)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)、箔絵(はくえ)

高さ:21.6cm 縦:22.7cm 横:35.5

銅製の蝶番や提金具、鍵金具の付いた片開きの角丸の箱です。箔絵で様々な吉祥文様が散らされています。長寿の象徴である蝶や末が広がる形から縁起良しとされる扇、多子多福を願う石榴、七宝などの各文様の一部に施された螺鈿が効果的なアクセントとしてひときわ目立ちます。


作品名:黒漆二十四孝唐草螺鈿沈金八角食籠
(くろうるしにじゅうしこうからくさらでんちんきんはっかくじきろう)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)、沈金(ちんきん)

高さ:28.7cm 直径:29cm

食物を盛る蓋付きの器で書院の棚飾りに用いました。八角形で二段重ねの本品は全体が黒漆塗りで各面に猪目窓を設け、中に毛彫りなどを施した緻密な螺鈿で中国の親孝行の説話の二十四孝の図を表し、窓外を沈金の鉄線唐草文で埋め尽くしています。


作品名:黒漆葡萄栗鼠箔絵八角食籠
(くろうるしぶどうりすはくえはっかくじきろう)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:箔絵(はくえ)

高さ:27cm 直径:28cm

八角形、二段重ねの食籠です。表面は黒漆塗りに箔粉蒔きを地塗りとし、箔絵と密陀絵で文様を表しています。たわわに実った葡萄とその中で戯れる栗鼠や蝶が描かれ、躍動的な栗鼠の姿が印象的な作品です。


作品名:潤塗舟遊草花箔絵稜花形食籠
(うるみぬりふなあそびそうかはくえりょうかがたじきろう)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:箔絵(はくえ)

高さ:30cm 縦:24.7cm 横:24.7cm

四稜花形の乾漆技法の食籠で、潤塗りに箔絵で草花文等を表しています。蓋表には舟遊びの図と詩文が、側面と高台には稜花形の窓を設け、中に水仙や菊、宝相華、牡丹、蜻蛉、蝶などの様々な文様を配し、形や色彩との組み合わせが上品で華やかな作品です。


作品名:朱漆楼閣人物箔絵稜花形食籠
(しゅううるしろうかくじんぶつはくえりょうかがたじきろう)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:箔絵(はくえ)

高さ:19.8cm 直径:27.5cm

十弁稜花形の食籠です。朱漆に箔絵で上面に楼閣や騎馬人物、側面を四段に区切り稜花形の窓を廻らし中に楼閣や樹木を、窓外を七宝繋文で埋めています。十弁の花形は布や紙を漆で貼り重ねて形をつくる、乾漆技法が使われています。


作品名:白檀塗楼閣山水箔絵湯庫
(びゃくだんぬりろうかくさんすいはくえタークー)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:箔絵(はくえ)

高さ:25.3cm 直径:24.2cm

湯茶を入れて持ち運べる容器で、琉球国内ではタークーと称されました。中に金属製の瓶に湯茶を入れて布袋で包み保温し、漆塗りの手提げ箱に納め、清明祭や競馬見物などの外の宴に使われていたようです。


作品名:朱漆山水人物箔絵東道盆
(しゅうるしさんすいじんぶつはくえトウンダーブン)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:箔絵(はくえ)

高さ:30cm 直径:49.5cm

東道盆は中国由来の接待用の食器で、方形や六角形などもあります。本品は朱漆に箔絵で蓋表に山水人物図、蓋側面と身外面に七宝繋文や牡丹唐草、鉄線唐草などの吉祥文様が豪華に彩られています。中に納まる9枚の玉製の皿には龍や梅、七宝が線刻され金箔で埋められています。


作品名:黒漆花鳥螺鈿箔絵密陀絵漆絵盆
(くろうるしかちょうらでんはくえみつだえうるしえぼん)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)、箔絵(はくえ)、密陀絵(みつだえ)、漆絵(うるしえ)

高さ:3.7cm 直径:36cm

複数の技法(箔絵・密陀絵・漆絵・螺鈿)を用いて文様を効果的に配した優美な盆です。見込みに芙蓉や蘆の葉、一対のカワセミが描かれ、縁は牡丹、蘭、梅、椿のモチーフで埋め尽くしています。中国では「蘆」は「路」と同音で一路栄華(永く栄える)を意味する吉祥文です。


作品名:潤塗花鳥箔絵密陀絵丸形食籠
(うるみぬりかちょうはくえみつだえまるがたじきろう)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:箔絵(はくえ)、密陀絵(みつだえ)

高さ:28.7cm 直径:27.9cm

朱漆塗りに箔紛を蒔いて透漆をかけた後、密陀絵や箔絵で椿や梅などの花と、鳥や蝶が表された食籠です。密陀絵で描いた椿や蝶などの輪郭を箔絵で金色に縁取ることで、金の輝きが作品に優美さを与えています。


作品名:黒漆山水人物螺鈿八角食籠
(くろうるしさんすいじんぶつらでんはっかくじきろう)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:38.6cm 直径:35cm

蓋と身の側面に螺鈿で山水人物図が表された食籠です。琉球王府の漆器製作を担っていた貝摺奉行所の文書に、本品と似た漆器の図柄が記録されているため、貝摺奉行所で製作される典型的な漆器と考えられています。


作品名:朱漆竹虎連珠沈金螺鈿座屏
(しゅうるしたけとられんじゅちんきんらでんざへい)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:沈金(ちんきん)、螺鈿(らでん)

高さ:76cm 奥行:38.8cm 幅:92.2cm

座屏と呼ばれる衝立です。ガラス玉を繋ぎ合わせる玉貫の技法で作られ、表面には竹虎の図、裏面に漢詩が描かれています。枠と足は沈金、足の下部などは螺鈿で文様を施しています。本品のように漆と玉貫技法が同時に用いられている作品は他に類例がありません。


作品名:黒漆葡萄栗鼠螺鈿箔絵箱
(くろうるしぶどうりすらでんはくえはこ)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:螺鈿(らでん)、箔絵(はくえ)

高さ:11.3cm 縦:12.5cm 横:12.5cm

螺鈿と箔絵で文様を施した箱です。粗めの貝を蒔いた表面に、箔絵で葡萄文を描き全体を埋め尽くし、蓋表には三匹の栗鼠が表情豊かに描かれています。外面は黒漆塗り、内面は朱漆塗りで、蓋裏と懸子に箔絵で花と蝶を表しています。


作品名:黒漆孔雀牡丹唐草沈金食籠
(くろうるしくじゃくぼたんからくさちんきんじきろう)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:沈金(ちんきん)

高さ:36.7cm 直径:33.6cm

羽を広げた孔雀と牡丹唐草文様を沈金で表した食籠です。全体を金で包んだように見える緻密な線の沈金表現は、16~17世紀頃の特徴です。本品のように深い蓋の丸型二段の沈金食籠は琉球王府の祭祀具に多く類例品があります。


作品名:朱黒漆雲龍沈金螺鈿卓
(しゅくろうるしうんりゅうちんきんらでんしょく)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:沈金(ちんきん)、螺鈿(らでん)

高さ:43cm 縦:86.5cm 横:182cm

朱の珠を掴む獣足が特徴的な貫禄のある大きな卓です。天板は朱漆塗りに沈金で火焔宝珠に双龍や瑞雲を、枠外は黒漆塗りに螺鈿で七宝繋ぎや花唐草文を描いています。本品は、貝摺奉行所の記録をまとめた『琉球漆器考』(明治23年)中の「寛延元(1748)年製 貝摺沈金混淆」の図案とよく似ています。


作品名:黒漆司馬温公家訓螺鈿掛板
(くろうるししばおんこうかくんらでんかけばん)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:螺鈿(らでん)

縦:52.3cm 横:68.5cm

黒漆塗りに螺鈿で、中国北宋の政治家・学者である司馬温公の家訓が表された掛板です。「子孫に財産や書物を残すよりも人目につかないところで善行を続ける事が子孫繁栄の方法である」といった内容が記され、文字を囲うように葡萄栗鼠文が配されています。


作品名:白密陀山水楼閣人物密陀絵箔絵四方盆
(しろみつださんすいろうかくじんぶつみつだえはくえよほうぼん)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:密陀絵(みつだえ)、箔絵(はくえ)

高さ:2.9cm 縦:19cm 横:19cm

四方盆は茶道具の一つで茶入や菓子を乗せて用いる盆です。表は白密陀で白色に塗り、裏は朱漆塗りです。見込に緑・茶・黄・赤などの密陀絵で山水楼閣人物図を、鍔の部分には竹と梅の枝を箔絵で描いています。白密陀は数が少なく珍重されています。


作品名:黒漆山水楼閣螺鈿中央卓
(くろうるしさんすいろうかくらでんちゅうおうじょく)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:51.1cm 縦:39.8cm 横:39.5cm

黒漆塗りに螺鈿で天・地板に山水図、足に牡丹唐草文を配しています。中央卓は床飾りに用いられ、貝摺奉行所文書には類似する中央卓の記録が残っています。琉球ではこのような中央卓を多く製作し、王家の設えや大名家へ献上品となりました。


作品名:朱漆花鳥密陀絵盆
(しゅうるしかちょうみつだえぼん)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:密陀絵(みつだえ)

高さ:2.3cm 直径:26.8cm

中国絵画の花鳥図で飾られた盆です。太湖石から椿の木が生え、花の間をつがいの鳥が遊ぶ様子を密陀絵で表した盆です。太湖石に椿と鳥を密陀絵で表す図柄は琉球で好まれて数多く作られています。


絵画分野


作品名:琉球交易港図屏風
(りゅうきゅうこうえきこうずびょうぶ)
製作地:琉球
製作年代:19世紀

縦:120cm 横:290cm  

19世紀頃の那覇のまちや港のにぎわいと首里の様子を俯瞰的に描いた屏風です。琉球王国時代の中国や薩摩との交流、周辺の様々な場所(城・社寺など)や生活文化(水売り・製塩など)に関する情報など、当時の様子を知る手がかりにあふれています。


作品名:琉球交易港図 三幅一対
[りゅうきゅうこうえきこうず(さんぷくいっつい)]
製作地:琉球
製作年代:19世紀

縦:111.6cm 横:56.7cm

19世紀頃の那覇のまちと港のにぎわいが俯瞰的に描かれた三幅対の掛軸です。構図は「琉球交易港図屏風」左四曲とほぼ同じですが、その他の類似する作品と異なって冠船が2隻描かれ、特に薩摩船・薩摩役人の姿が確認できない点は本作品の特色です。


作品名:花鳥図(かちょうず)
製作者:孫億
製作地:中国
製作年代:1710年

縦:60.5cm 横:36.9cm

梅樹とその枝に止まる二羽の鳥に、菊と鮮やかな赤色の椿が描かれています。作者の孫億は長州(江蘇省誤県)の出身で、清朝の康煕年間を中心に福建で活躍した画家です。本作品は款記より康煕49年(1710)の作であることが明らかで、孫億の基準作品の一つとして貴重です。


琉球八景

江戸後期に活躍した浮世絵師・葛飾北斎が、天保3年(1832)の江戸上りに合わせて制作したと考えらえる全8枚そろいの錦絵で、琉球の景勝地八カ所が描かれています。北斎が琉球を訪れたわけではなく、『琉球国志略』の挿絵「球陽八景」をもとに制作されたと考えられています。



琉球八景校合摺り

北斎の「琉球八景」全8枚の校合摺りです。校合摺りとは、多色摺りの浮世絵の制作段階で作られる、彫師によって絵の輪郭線が彫られこれを摺ったもののことです。試し摺りのようなもので浮世絵完成後には処分されるため、本作品のように全8枚そろいで現存しているのは大変貴重です。先にご紹介した錦絵と比べてご覧ください。


作品名:琉球八景 泉崎夜月
(りゅうきゅうはっけい いずみざきやげつ)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

久茂地川の河口付近で泉崎と久米の間にかかる石橋「泉崎橋」が描かれています。1717年に木橋から石橋に改修されましたが、沖縄戦で破壊されました。「球陽八景」には無い薄雲で一部欠けた月が描き加えられています。


作品名:琉球八景 臨海湖声
(りゅうきゅうはっけい りんかいこせい)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

那覇港を守るために海上に伸びた城砦・三重城と、その堤の途中にあった臨海寺が描かれています。球陽八景での原題は「臨海潮声」ですが、琉球八景では”潮”が”湖”になっています。また、左手前には舟も追加されています。


作品名:琉球八景 粂村竹籬
(りゅうきゅうはっけい くめむらちくり)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

現在の那覇市久米にあった中国系住民の集落、久米村が描かれています。久米村の人々は琉球王府の中で、外交文書の作成や通訳、航海指南などに活躍しました。タイトルの竹籬とは竹の垣根のことです。


作品名:琉球八景 龍洞松濤
(りゅうきゅうはっけい りゅうどうしょうとう)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

奥武山にかつてあった龍洞寺が描かれています。奥武山は漫湖の入り江にあった島で、松がうっそうと生えていたといわれています。雪景色になっているのは北斎の創作です。


作品名:琉球八景 筍崖夕照
(りゅうきゅうはっけい じゅんがいせきしょう)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

那覇湾港奥の入江、波の上の石筍崖とその上にある波上宮が描かています。現在は埋め立てで陸地化していますが、かつては湿地帯に奥武山やガーナー森、仲島の大石などが水面に映えた景勝地でした。


作品名:琉球八景 長虹秋霽
(りゅうきゅうはっけい ちょうこうしゅうせい)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

1451年頃に尚金福王の命で造られたといわれる海中道路・長虹堤が描かれています。当時の那覇は浮島と呼ばれる島で、長虹堤は崇元寺橋から那覇のイベガマ御嶽にいたる長い石橋でしたが、次第に周辺が干潟化し、北斎の時代には陸地になっていました。


作品名:琉球八景 城獄霊泉
(りゅうきゅうはっけい じょうがくれいせん)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

現在の那覇高校南にある城岳の「王樋川」と呼ばれる泉が描かれています。城岳はかつては木が生い茂った御嶽で、航海安全を祈願する所でもありました。赤く着色された山は、富士山に見立てていると言われています。


作品名:琉球八景 中島蕉園
(りゅうきゅうはっけい なかしましょうえん)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

泉崎の仲島にあった蕉園で、蕉とはバナナと同種の芭蕉という植物のことです。手前に描かれている岩は仲島の大石と呼ばれ、現在も残っていて見るができます。また、中央奥には富士山を思わせる山が描かれています。

 


作品名:琉球八景校合摺り 泉崎夜月
(りゅうきゅうはっけいきょうごうずり いずみざきやげつ)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

作品名:琉球八景校合摺り 臨海湖声
(りゅうきゅうはっけいきょうごうずり りんかいこせい)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

作品名:琉球八景校合摺り 粂村竹籬
(りゅうきゅうはっけいきょうごうずり くめむらちくり)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

作品名:琉球八景校合摺り  龍洞松濤
(りゅうきゅうはっけいきょうごうずり りゅうどうしょうとう)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

作品名:琉球八景校合摺り 筍崖夕照
(りゅうきゅうはっけいきょうごうずり じゅんがいせきしょう)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

作品名:琉球八景校合摺り 長虹秋霽
(りゅうきゅうはっけいきょうごうずり ちょうこうしゅうせい)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

作品名:琉球八景校合摺り 城獄霊泉
(りゅうきゅうはっけいきょうごうずり じょうがくれいせん)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

作品名:琉球八景校合摺り 中島蕉園
(りゅうきゅうはっけいきょうごうずり なかしましょうえん)
制作者:葛飾北斎
制作地:江戸
制作年代:1832年頃

その他 収蔵品


作品名:朱漆牡丹唐草堆錦鞍
(しゅうるしぼたんからくさついきんくら)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:堆錦(ついきん)、沈金(ちんきん)

前輪高:33.1cm 居木長:41.5cm

全体が朱漆で塗られた馬の鞍です。前輪(まえわ)と後輪(しずわ)には、堆錦で牡丹唐草文が表され、縁は沈金で二重廻線を、木口面には沈金で七宝繁文が施されています。鞍は金奉行の鞍打細工と貝摺奉行所が分業で製作していたと思われ、琉球国内用だけでなく献上品にもなりました。


作品名:朱漆山水人物堆錦刀掛
(しゅうるしさんすいじんぶつついきんかたなかけ)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:堆錦(ついきん)

高さ:52.7cm 幅:47.3cm  奥行:24cm

堆錦総貼りの刀掛です。シート状に伸ばした堆錦餅に卍格子や花菱格子の連続文を型押ししたものを全面に貼り付け、その上に牡丹・蝶・柘榴・琴碁書画などの文様を施しています。


作品名:黒漆牡丹唐草七宝繁沈金食籠
(くろうるしぼたんからくさしっぽうつなぎちんきんじきろう)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:沈金(ちんきん)

高さ:39.5cm 径:34.3cm

深い印籠蓋造の円形二段食籠です。沈金で孔雀と牡丹唐草文を施し、七宝繋ぎの地文で隙間が埋め尽くされています。蓋蔓の縁には縦横線文、高台下部には山形波文を廻しています。琉球では円形二段食籠を「御籠飯」と呼び、正月や祭事に御花(米)を盛って飾る祭具などとして使用していました。


作品名:朱黒漆三巴紋漆絵盤
(しゅくろうるしみつどもえもんうるしえばん)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:漆絵(うるしえ)

高さ:6.3cm 径:41.5cm

鍔から裏面にかけて黒漆塗り、見込みには朱漆塗りに左巴紋が描かれています。左巴紋には金が、鍔には箔粉蒔きの部分が僅かに残っています。高台内には朱漆で「御内原御用」と記されています。王族の居住空間である「御内原」で使われていたものと考えられています。


作品名:黒漆梅牡丹七宝繋箔絵沈金三足盆
(くろうるしうめぼたんしっぽうつなぎはくえちんきんみつあしぼん)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:箔絵(はくえ)、沈金(ちんきん)

高さ:8.5cm 長径:33.4cm 短径:32.5cm

全体が黒漆塗りの三足盆です。見込みには箔絵で梅の木を、鍔や足の部分には七宝繋ぎの地文に、沈金で牡丹唐草が表されています。寛文11(1671)年に琉球国王から尾張徳川家への進上した品と同系統の作例です。


作品名:黒漆山水螺鈿印籠
(くろうるしさんすいらでんいんろう)
製作地:琉球
製作年代:17~18世紀
技法:螺鈿(らでん)

高さ:9.8cm 横:5.2cm

黒漆塗り、四段重ねの印籠です。両面とも山裾の水辺に佇む屋舎や帆掛け舟など、桃源郷を思わせる風景を表しています。ヤコウガイの薄貝螺鈿で、金の裏彩色などもあり、紐通し部分には、貝や金の薄板で石畳文が表されています。根付は木彫の獅子です。


作品名:黒漆花鳥螺鈿料紙硯箱
(くろうるしかちょうらでんりょうしすずりばこ)
製作地:琉球
製作年代:19世紀
技法:螺鈿(らでん)

料紙箱 高さ:14cm 縦:46.7cm 横:38cm
硯 箱 高さ:6.4cm 縦:26cm 横:24cm

黒漆塗りの料紙箱と硯箱です。硯箱には金属製の水滴と硯を収め、刳形の足台が付けられています。蓋上に花鳥図を、側面は薔薇・梅樹・芙蓉などを余白のある構図で表しています。王国の漆器資料「貝摺奉行所文書」や『琉球漆器考』に類似品があります。


作品名:黒漆花鳥箔絵密陀絵盆
(くろうるしかちょうはくえみつだえぼん)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:箔絵(はくえ)

高さ:3.1cm 径:31.7cm

黒漆塗りの盆で、表面は箔粉蒔きの「琉球梨地」です。湾曲した鍔で縁に金箔が押されています。見込みには、白鷺が柳の木や大輪の蓮の傍らで蜻蛉らと優雅に遊んでいるように描かれています。鷺や柳の幹は箔絵で表し、紅い蓮の花や緑の葉の配色が効果的で、古典絵画を思わせる構図の盆です。


作品名:朱漆菊牡丹堆錦螺鈿台
(しゅうるしきくぼたんついきんらでんだい)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:堆錦(ついきん)、螺鈿(らでん)

高さ:15.5cm 縦:31.5cm 横:48.5cm

堆錦と螺鈿を併用した平卓です。天板と足の表は朱漆塗り、高狭間と足裏・底裏は黒漆塗りです。天板には細い堆錦で窓枠を設け黄色と紫色の菊唐草を、裏側には葡萄唐草を堆錦で表しています。高狭間には窓を刳り、黒漆塗りに微塵貝を蒔き螺鈿の桜花が配されています。足は堆錦で牡丹唐草文を配しています。


作品名:朱漆山水楼閣箔絵提重
(しゅうるしさんすいろうかくはくえさげじゅう)
製作地:琉球
製作年代:18~19世紀
技法:箔絵(はくえ)

高さ:24cm 縦:16.5cm 横:25.5cm

提手付きの外箱に、四段重と大小の箱、金属製の酒器を収めた提重です。外箱は透漆塗りに黒の濃淡で山水楼閣図を、中の箱は朱漆塗りに黒の濃淡で山水楼閣図を表しています。落ち着いた風合いの外箱と鮮やかな内箱との対比が印象的な逸品です。


作品名:朱漆花鳥堆錦螺鈿掛板
(しゅうるしかちょうついきんらでんかけばん)
製作地:琉球
製作年代:18世紀
技法:堆錦(ついきん)、螺鈿(らでん)

高さ:163cm 幅:20.5cm 厚さ:2cm

朱漆の掛板です。梅の木に止まる雉と、薔薇の花を堆錦で表し、周辺を細かな花繋ぎ文の螺鈿で飾っています。梅の古木の幹は、柔らかい堆錦に凹凸を付け表情を出し、雉の羽は色違いの堆錦餅を重ねる事で写実的な表現となっています。中国明代の花鳥画にも通じています。


作品名:朱漆虎牡丹椿堆彩漆合子
(しゅうるしとらぼたんつばきついさいしつごうす)
製作地:琉球
製作年代:16~17世紀
技法:堆彩漆(ついさいしつ)

高さ:6cm 径:10.8cm

格子文を素彫りして地文とし、蓋表に虎、蓋身側面に椿と牡丹を堆彩漆で表した合子です。琉球に浄土教をもたらした僧・袋中上人が、第二尚氏第七代国王であった尚寧王より拝領したと伝えられる香合と同系統の作品です。


作品名:楽童子向兆麟の書(乕)
(がくどうじこうちょうりんのしょ とら)
制作者:奥平親方朝宜(向兆麟)
制作地:琉球
制作年代:19世紀

縦:120cm 横:55cm

向兆麟(奥平親方朝宜 生没年不明)が、楽童子として江戸立(江戸上り)した際の書です。江戸立とは琉球使節が江戸へ挨拶に赴く旅程のことをいい、慶賀使と謝恩使があります。楽童子は演奏や舞踊、書や詩歌、茶道に優れていた15歳から18歳位の少年達で構成され、良家の子弟から選ばれます。

 

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