記事番号: 1-1524
公開日 1900年01月01日
コラム③:浦添市と周辺地域における「店舗・事務所」や「居住用物件」の賃料動向
今回のコラムは、既存調査などを活用して浦添市と周辺地域における「店舗・事務所物件」や「居住用物件(賃貸アパートを想定)」の賃料動向をテーマにしたいと思います。
浦添市で起業をお考えの方々へは「スタートアップ浦添・サイト」で情報発信している「空き店舗・事務所の情報」(→浦添市空き店舗・事務所の情報はこちら)とともにスタートアップに向けた情報収集の際にご参照ください。同調査(→おきぎん賃料動向ネットワーク調査)では、賃貸物件を取り扱う県内不動産会社17社23店舗へのヒアリング等を毎年実施しており、自社が保有する管理物件における地域別・部屋タイプ別の「賃料」や「稼働率」の相場感(平均的な水準)をとりまとめています。
〇賃料の定義
「共益費」や「駐車場代」等を除いたもの(平均的な室料のみ)
〇地域区分
県内12エリアに区分(物件の分布状況や住宅立地ウェイト等を考慮)
「名護市」、「うるま市」、「沖縄市と近隣町村」、「宜野湾市・西原町・中城村」、「浦添市」、「那覇新都心」、「那覇市西部」、「那覇市東部」、「那覇市南部」、「豊見城市と東南部」、「宮古島市」、「石垣市」
〇部屋タイプ区分
・店舗・事務所:坪単価 (周辺インフラ環境に変動するため築年数での区分はなし)
・居住用物件:新築・中古別に3区分(1R~1LDK、2K~2LDK、3K、3LDK)
まず、店舗・事務所物件の平均的な賃料をみますと、全体で坪あたり6,200円となり、前年(6,320円)より低下しています。トレンドとしては、那覇市都心部や市街地開発地域などの人気エリアにおける需要が堅調である一方で、初期費用の節約や人手不足の影響などを背景に小型店舗(15坪程度)への需要の高まりなどから全体でダウンしています。そのような中、浦添市では坪あたりで6,000円となっており、前年より3.2%ほど低下しています。ちなみに、一番高いエリアである那覇市新都心と比べると大幅に低くなっていますが、近隣の宜野湾市及び西原町・中城村より高くなっています。
次に、居住用物件をみてみましょう。本物件は、築年数別・部屋タイプ別でとりまとめています。全体的な賃料としては低下しており、築年数別にみると「新築物件(建築後1年以内)」では、広いリビングのあるLDK物件や利便性の高い市街地開発地区などの人気があるものの、割安感のある中古物件との競合などから前年よりダウンしています。他方、「中古物件(先の新築以外)」では、人気のあるLDK物件や設備が充実している築浅物件の稼働率(相対的に家賃が高い)が低下したことなどから前年よりダウンしています。
浦添市内の結果をみますと、部屋タイプ別では、新築・中古の1R~1LDKタイプで上昇し、それ以外ではダウンしていることがわかります。エリア別では、「内間」や「宮城」では、賃料水準の高い那覇新都心からの流入がみられるなど一部で賃料が上昇、「前田」では中長期的にモノレール延伸により需要増が期待されています。一方で、生活利便性の高さなどから、「城間」、「伊祖」、「経塚」で根強い人気があるものの、家族世帯向けの新築物件で他エリアとの競争激化や供給過剰感などもあり低下しているようです。また、「安波茶」、「仲間」、「屋富祖」、「西原」、「浦西」などでも需要に弱さがみられ低下傾向にあるようです。
このように、賃貸物件をとりまく環境としては、貸し手である不動管理会社等(供給サイド)で資材高騰や人手不足などで建築コストが高騰している影響などから新築や築浅物件で相場高の家賃を設置する動きがみられる中、借り手である入居希望者(需要サイド)では、「より安い価格で充実した物件を選ぶ」や「敷金礼金を含めた初期費用の安さ」を重視する傾向が強まっており、地域・築年数・部屋タイプ別でのギャップが生じているようです。また、地域によっては物件に関する供給過剰感の声も聞かれることから、今後ますます賃料の高低差が広がっていく可能性もあります。
物件情報については、さまざまな形態で情報が発信されていますので、周辺地域との相対性や当該地域の将来性なども考慮に入れた情報収集が求められます。
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