記事番号: 1-9571
公開日 2021年09月07日
友好都市 泉州市 の 遺跡群 「泉州:宋朝(そうちょう)・元朝(げんちょう)における世界のエンポリウム 中国」が2021年7月25日 ユネスコ世界遺産に登録されました。
浦添市と泉州市との交流は、はるか琉球王朝時代にまで遡ります。察度王が朝貢のために浦添から使節を派遣し、その際に入港したのが泉州でした。琉球と中国が公的に交流を開始した「ゆかりの地」である泉州の遺跡群が世界遺産に登録されたことは、友好都市である浦添市にとってもたいへん喜ばしいことです。
この度、世界遺産に登録された遺跡群は、世界のエンポリウム(商業の中心地)として、宋・元時代(西暦10~14世紀)にアジアの海事貿易にとって、非常に重要な時期に繁栄したエリアです。
その一帯には、ペルシャやアラブから来航した商人が拠点とした、イスラム教のモスク・清浄寺(せいじょうじ)をはじめ、仏教寺院・開元寺(かいげんじ)、道教の海の守り神・媽祖(まそ)をまつる天后宮(てんこうぐう)など、信仰の異なる建造物が遺されており、そのうち22か所の遺跡群が世界遺産に登録されたことは、世界の宗教や文化が争うことなく共存できるという平和のメッセージとも言えるでしょう。
◆世界遺産に登録された22か所の遺跡のなかから一部をご紹介します◆
世界各国の商船が出入りし、活発な取引が行われていた光景とともに泉州の繁栄ぶりが目に浮かんでくるようです。
一、清浄寺(モスク)
1.清浄寺(せいじょうじ:モスク) Qinging Mosuque
宋朝・元朝にペルシャやアラブからはるばる海を越えて泉州にやって来たイスラム教徒の商人やムスリムの人々が滞在していたことの証です。
二、六勝塔
2.六勝塔(ろくしょうとう) Liusheng Pagoda
商船が泉州湾の主水路から内陸河川の港に向かう際のランドマークで、旅商人の安全を祈る存在でもありました。
3.徳済門遺跡(とくさいもんいせき) Site of Deji Gate
宋朝・元朝の泉州城の南門遺跡です。
四、開元寺
4.開元寺(かいげんじ) Kaiyuan Temple
宋朝・元朝において、泉州で最大規模で、重要度が特に高かった仏教寺院です。現地の文化が多元化されていたことを反映しています。
5.洛陽橋(らくようきょう) Luoyang Bridge
宋王朝が主導して建設された海を跨ぐ大型石橋です。1053年に建設され、今でも完全な状態で保存されています。
六、安平橋
6.安平橋(あんぺいきょう) Anping Bridge
泉州と南部の沿海地域の陸運を結んでいます。1138年に建設され、中国で現存する中で最も長い海を跨ぐ石のビーム橋です。
七、天后宮
7.天后宮(てんこうぐう) Tianhou Temple
海の守り神・媽祖(まそ)をまつる廟(びょう)で、他の地域からきた商人や貨物が泉州城を出入りする際にまず通過する場所でした。
※廟(びょう)とは、一般に中国固有の宗教建築のことです。
八、泉州府文廟
8.泉州府文廟(せんしゅうふぶんびょう) Confucius Temple and School
公式に孔子を記念し、まつる場所であり、世界のエンポリウムの多元化されたコミュニティの代表的な遺産要素を反映しています。
九、真武廟
9.真武廟(しんぶびょう) Zhenwu Temple
航海の安全を守る海の神「真武大帝(しんぶたいてい)」をまつる場所です。
十、灵山圣墓
10.霊山聖墓(れいざんせいぼ) Islamic Tombs
イスラム教の聖地。イスラム教が中国に伝えられたことを示す最も初期の歴史的物証の一つです。
◆世界遺産とは◆
世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から現在へと引き継がれてきたかけがえのない宝物です。現在を生きる世界中の人びとが過去から引継ぎ、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産です。
世界遺産は、1972年の第17回UNESCO総会で採択された世界遺産条約(正式には『世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約』)の中で定義されています。(※公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟HPより)
○ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産登録件数 1,154件(2021年8月現在)
○中国の世界遺産登録数 56件 世界第2位 (日本の世界遺産登録数 25件/うち沖縄2件 世界第11位)