【ROAD】04:翁長俊輔さん

記事番号: 1-1190

公開日 2016年09月27日

ROAD 翁長俊輔さん

 



翁長俊輔さん:踊っている時が至福のひと時



 









翁長さん近影

翁長俊輔さん

神森中学校2年生(13歳)。



 玉城流てだの会所属。石川直也氏に師事。

 国立劇場おきなわ自主公演への出演をはじめ 8月に行われた琉球新報主催「琉球古典芸能コンクール新人賞」に合格するなど今注目を集めている中学生です。





 



 内容の豊かさと格式の高さにより、平成21年9月に国の重要無形文化財に指定された沖縄の伝統芸能「琉球舞踊」。

 その琉球舞踊に夢中な中学生がいます。神森中学校2年の翁長俊輔さん(13)。翁長さんは今年8月、琉球新報主催琉球古典芸能コンクールの琉球舞踊の部で新人賞に合格した注目の若手男性舞踊家です。

 翁長さんが琉球舞踊を始めたのは、小学3年生のとき。祖母が琉球舞踊をしている姿を見て、琉球舞踊に魅せられ、石川直也琉舞道場の門を叩きます。

 以来、週2回の舞踊道場での稽古に加えて、稽古日以外も自宅に帰ると毎日欠かさず1時間以上、楽しみながら稽古に励んでいます。

 琉球舞踊を始めて5年。寝ても覚めても琉球舞踊に夢中な翁長さん。同級生たちがテレビを観たり、ゲームを楽しんでいる中、「僕にとって琉球舞踊がゲームのようなものです」と言い切ります。うまく踊れるときもあればそうはいかないときもあります。これまで琉球舞踊を一度も辞めたいと思ったことはなく、その時に自分の踊りの何がダメだったのかと自分と向き合い考えることがとても重要。そこで出した答えを次の場で挑戦してステップアップしていかないといけません。良い時も悪い時も全てをひっくるめて琉球舞踊の魅力で、そこがおもしろいんです」と目を輝かせます。



 また翁長さんはこう続けます。

「琉球舞踊は一つ一つの細かい動き(所作)が大事で、限られた表現手段で喜びや悲しみ、恥じらい、恨み、せつなさなどの細やかな感情をどう上手く表現するかが難しいです。曲の歌詞の意味を知ることも大事なことで、知った上で踊ることで役に入り込み気持ちよく踊ることができます。稽古では常にそういったことを意識し表現することを心がけています」

 そこには中学生の顔ではなく舞踊家としての顔が垣間見えます。



 踊りに真摯に取り組む翁長さんは、師範への感謝と尊敬の気持ちも忘れません。

「石川師範は厳しくもあり、優しさも兼ね備えた方。新人賞に合格できたのも師範が細かく丁寧に指導してくれたからこそ。師範からは琉球舞踊を通して礼儀・作法も学びました。そのおかげで人間的に成長できたと思います」と照れながらも話します。

 翁長さんの今後の目標は、まず3年後のコンクールで優秀賞に合格すること。そして、その先の最高賞まで琉球舞踊に専念し、それ以降は「『組踊』の発展・継承のために力を注ぎ、多くの人に喜んでもらえる踊りがしたい」と夢は尽きません。

 積み重ねた努力が円熟した踊りへつながることを信じ、今日もまた稽古に励みます。

 



舞台の様子

 



琉球の文化、伝統を継承する

玉城流てだの会 師範 石川直也 氏

 琉球舞踊を通して子どもたちに伝えていきたいことは「うちなーぐち(方言)」の大切さです。私自身も最初は方言が分かりませんでした。方言を理解することで曲の意味を知り、踊りに深みが出ます。そうすると新たな魅力に気付くはずです。沖縄にしかない言葉、踊り、音楽を私たちが次世代へ引き継ぎ、引き継いだ子どもたちがそのまた次に引き継ぎ、沖縄の文化や伝統が継承発展していけばと思います。



 


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