記事番号: 1-1185
公開日 2016年11月28日
浦添高校空手部:さらなる高みへ〜30年続く伝統を守る〜
県内強豪校の一角
10月に行われた沖縄県高等学校新人体育大会・空手道競技。浦添高校は団体組手で男女ともに優勝し、総合成績で男子2位・女子1位と大奮闘しました。並いる強豪校と対等に戦い、全国高校総体30年連続出場を誇る浦添高校空手部には、現在、男子8人、女子7人の部員が所属しています。
その部員たちを取りまとめるキャプテンは、男子は仲本和(なかもと・わたる)さん、女子は田場愛茄(たば・あいか)さんです。
中学生の頃から憧れていた浦添高校に入学し、空手部の門をたたいた和さん。一時期怪我が重なってスランプが続いたと話します。しかし、毎日のイメージトレーニングと、怪我をしていない箇所の筋トレは欠かさず、徐々に自分の力を試合で出せるようになり、キャプテンを任されるようになりました。
「空手の試合ではまぐれが無く、日々の練習を積み重ねるしかありません。毎日皆と頑張って練習し、互いにいい結果が残せるととても達成感を感じます」と力強く語りました。
弟の空手に魅力を感じて、小学5年生の頃から空手を始めた愛茄さん。
高校生となり、出場する大会で高校空手のレベルの高さを知りましたが、高校二年になり、キャプテンを任されるという転機が訪れます。
「キャプテンを任されたとき、自分の中ですごく気合が入りました。みんなを引っ張っていかないといけないと思い、試合中も『絶対にあきらめない』と
強く思えるようになりました。」
責任感が彼女を強くし、今年の大会で優勝を勝ち取るほどに成長します。
その生徒たちに気合の入った声で指導するのは、自らの指導で首里高校空手部を優勝に導き、自身も優秀な成績を残した伊禮光国監督です。「空手は体力・精神力・心を毎日鍛えることが何より大事」だと語る伊禮監督。生徒には一日も怠らずに努力を続けるよう教えています。「和は冷静でまわりを見ているので、部員にとても気配りができます。愛茄は皆を引っ張っていく明るさがあり、部員をまとめるには最適です。この二人が組み合わさっていい雰囲気が保てていると思います」と、練習中の部員を見つめます。
休憩中はさわやかな笑顔で冗談を言いあう部員と監督ですが、練習中では「エーイ!」と外からでも聞こえる大きな声で突きや、対人組手の練習をします。その時の部員たちの顔は気迫にあふれ、その顔を見た伊禮監督も汗だくで熱く指導します。決してやさしい指導ではありませんが、部員たちも迷わず「ハイッ!」と監督を信じて言葉を受け止め、より一層練習に励みます。
受け継がれる伝統の「礼」
練習終了後は、空手の醍醐味である「礼」。浦添高校空手部には代々受け継がれる「礼」があり、練習終了後は必ずします。そのときは道場全体が静寂に包まれ、監督も部員もマネージャーもすべて膝をついて深々と礼をします。組手も形も優秀な成績を残している浦添高校空手部。日ごろの礼はもちろん、監督の指導を素直に受け止め、日ごろの鍛錬を欠かしません。常に気合を高めながら実績を積み上げてきた先輩たちの姿に憧れ、無意識にその伝統を絶やさないよう日々奮闘する部員たちの気迫こそ、浦添高校空手部の強さの秘訣かもしれません。
世界の空手大会で活躍する日本選手の中では、豊見城あずさ選手をはじめとする浦添高校空手部の卒業生もいます。空手がオリンピック種目になった今、浦添高校空手部から日本代表が選出される期待も高まります。有望な部員が集まり、それに負けじと頑張る他の部員。その雰囲気が、世界に通用するほどの人材を育てるのでしょう。
空手は形・組手、どちらも相手に負けない気迫が必要です。 組手は、体格に差がある試合でも、小さな選手が大きな選手を翻弄してポイントを取っていくことができます。私が部員たちに注意して指導していることは「考えて試合すること」で、試合の経験場数もそうですが日頃の練習からイメージするよう心掛けさせています。 |