記事番号: 1-4389
公開日 2017年11月10日
平素より浦添市の西海岸開発にご理解ご協力をいただきありがとうございます。
浦添市では、去る平成29年4月27日に防衛省において開催されました「第24回 那覇港湾施設移設に関する協議会」における那覇港湾施設代替施設の配置案と民港に与える影響・支障の評価結果(下記参照)について、理解はしていますが、評価結果を含めた代替施設の配置案の選定については持ち帰り検討するとしていました。
ついては、本市の牧港補給地区返還後の跡地および、那覇港浦添ふ頭地区(西海岸開発地区)を含めた西海岸開発の在り方について、専門的および総合的な幅広い視点から意見を伺い検討するため、「浦添市西部開発に関する懇話会」(懇話会設置要綱[PDF:76KB])を設置しました。
浦添市西部開発に関する懇話会(第1回)
日時:平成29年7月28日(金) 14:00~17:30 浦添市役所9階講堂
(要旨)
浦添市西海岸開発計画の現状等の説明。平成29年4月27日防衛省主催「第24回那覇港湾施設移設に関する協議会」において、那覇港管理組合から提出された那覇港湾施設代替施設配置案(南側配置案、北側配置案)比較表について意見交換。懇話会の役割・検討範囲について検討。
(主要意見)
1.ふ頭計画案と比較項目について
1)現在の比較表は民港の視点のみである。
2)安全の一つとして防災対応の項目を追加してほしい。港は避難場所にもなり、物資の輸送の面でも機能が発揮される。
3)キンザーから見た眺望と浦添市の西部のあり方というまちづくりの観点からを浦添市としては評価項目にしていいのではないか。
⇒防災、まちづくり、眺望の観点を項目に追加し、その他思慮されることについて事務局で比較表(案)を作成する。今後、これに対し懇話会で意見を伺う。
2.懇話会の検討範囲について
4)懇話会が「西部開発」と銘打たれているのであれば、58号の既存の屋富祖・宮城地区といった広いゾーニングにおける方向づけや東部との連携も入れていただきたい。
5)土地利用については隣接しているキンザーを利用するという発想が出てくるかもしれない。幅広く検討するという意味では、返還軍用地についても一緒に考えることができるのではないか。
⇒検討範囲はキンザーを含む西部全体を視野に考慮。
3.懇話会における委員以外の関係者について
6)計画はいろいろな事業者が関わっている。要綱の中にも「委員以外の者の出席を求めて意見を聞くことができる」ということがあることから、次回は関係者からも意見を聞きたい。
⇒第2回懇話会において、那覇港管理組合、沖縄総合事務局、防衛省沖縄防衛局、沖縄県港湾課に出席を依頼。
4.クルーズ船バースについて
7)今後もクルーズ船の寄港が増加すると見込まれている根拠は何か。
⇒世界クルーズ市場や那覇港の寄港実績から今後も増加されることが予想される。
8)クルーズバースを内側に持ってきた場合、貨物岸壁との兼用になる。クルーズ船を降りた方々の目の前にコンテナが並ぶのはどうかと思う
⇒計画比較表の内容に追加。
5.景観
9)リゾートビーチというのは景観が大事である。利用する浦添市民や県民の目線で見る必要があるので、3Dで分かるような形で提示してほしい。
10)キンザーは景観がすごくいい。どの地点でどういう見え方をするのか、立体的にどの委員でも分かる形で示していただけると、もっとイメージが湧くと思う。
⇒第2回懇話会では作成方法、視点位置を提示。第3回懇話会で成果を提示予定。
浦添市西部開発に関する懇話会(第2回)
日時:平成29年9月8日(金) 14:00~17:30 浦添市役所601会議室
(要旨)
那覇港管理組合、沖縄総合事務局、防衛省沖縄防衛局、沖縄県港湾課の各関係機関から意見聴取。環境、景観・眺望、交通、クルーズ船、牧港補給地区跡地利用との関連等について意見交換。
(主要意見)
1.環境
1)里浜条例ができる中で北側に代替施設を持ってくるのはどうかと思う。
2)環境項目で埋立てについての評価はないのか。
3)北側は唯一の自然海岸が残る場所で、第1ステージの埋立ての際に橋梁式にして残したのだから、保全する方法を考えてほしい。
⇒環境保全の項目を追加し、評価。
4)当初環境項目に構造形式の工夫により影響が軽減できることが可能とあった。どの構造形式でどう軽減できるか分かりやすく提示してほしい。
⇒クルーズ岸壁の代表的な構造について整理。
5)カーミージーで子どもと遊ぶ「浜下り」の習慣がある。文化面でも調べてみてはどうか。浜下りの状況について次回報告してほしい。
⇒年中行事と浜下りの利用状況を整理。
2.景観・眺望
6)浦添市の顔となるシンボルロードを通って見えるのが、北側案では軍港で、いかがなものかと思う。
⇒3Dフォトモンタージュを作成し、評価。
7)世界で見るとクルーズ、軍港、物流の性格を持っている港は珍しくない。共存やデザインで上手くいく方向を考えてみてはどうか。
⇒事例について調査・整理。
3.交通
8)海上交通については当初項目から考えられているが、陸上交通についても評価項目が必要ではないか。
9)北谷の西海岸開発後、58号が渋滞するようになった。道路計画がその後の地域の発展に関わってくる。全体の道路計画も検討する必要があるのではないか。(失敗した事例から考える)
⇒陸上交通の項目を追加し、評価
10)南北縦貫鉄道の考えが県から出ている。それも含めて考えるか。 次回は情報をほしい。
⇒構想段階の話であるため、懇話会では考慮しない
11)計画地とキャンプ・キンザー跡地の土地利用の連続性の観点の評価も必要ではないか。
⇒項目「浦添市西部開発としての関連性について」に評価
浦添市西部開発に関する懇話会(第3回)
日時:平成29年9月28日(木) 14:00~16:00 浦添市役所9階講堂
(要旨)
配置計画比較項目(当初項目:港湾機能、環境、安全、追加項目:防災、観光・交流・レジャー、景観・眺望、浦添市西部開発としての関連性、環境保全、陸上交通)の意見交換。
(主要意見)
1.景観・眺望
1)フォトモンタージュに違和感がある。クルーズ船は左舷接岸が一般的ではないか。
⇒クルーズ船を左舷接岸に修正
2)定地点を決め、ビーチから海を見た場合の視野の割合等で示せないか。
⇒海の見える角度を追記 ・ビーチ視点のフォトモンタージュを作成
3)評価の文章が南北案で同じなのはおかしい。代替施設上には倉庫等があるため、南北案で表現を変えてはどうか。
4)フォトモンタージュを見た表現として良いのではないか。
5)南側案に問題点は見当たらないAで良いのではないか。
⇒主観的な要素ではなく、客観的な事実として整理
2.浦添市西部開発としての関連性
6)南側配置案の評価がBとなっているが、B判定では何か問題があるのではと考えられてしまう。浦添市の重要な拠点があるのならばA判定で良いのではないか。
7)クルーズ船から商業施設に歩いて行けるメリットとして、購買力、経済効果等で表現できないか。
⇒クルーズ岸壁から商業施設までの距離を追記
8)平成21年に地主会が市民に対してまちづくりアンケートを実施した。その結果を出してはどうか。
⇒次回、直近の調査、平成24年のアンケート結果概要を提示
3.環境保全
9)里浜条例ができるのだから、文章に一言入れてはどうか。
⇒里浜条例に関する文言を追記
浦添市西部開発に関する懇話会(第4回)
日時:平成29年10月24日(火) 15:00~17:00 浦添市役所9階講堂
(要旨)
浦添市検討案(南側配置案、北側配置案)を基に、評価項目の検討。
○港湾機能:南側配置案については、代替施設の配置を変更することによって、管理運営、民間船舶の航行などについても影響が少なくなることでA評価。北側配置案については、従来どおりA評価。
○環境:南側配置案、北側配置案ともに従来どおりB評価。
○安全:南側配置案については、代替施設の配置を工夫することにより、航行安全についての問題は解消されるものと考えられることからA評価。北側配置案は従来どおりA評価。
○防災:南側配置案、北側配置案ともに従来どおりB評価。
○観光・交流・レジャー:南側配置案については、クルーズ船岸壁から隣接した商業エリア(第一ステージ)までの距離は約1kmでアクセスが容易A評価。北側配置案についてはクルーズ船岸壁に隣接したエリアにコンテナが並ぶ、またクルーズ船岸壁から商業エリア(第一ステージ)までの距離は約1.5kmとなりB評価。
○景観・眺望:景観、眺望については、主観的なものへの依存が大きいことから、フォトモンタージュについての事実関係を列挙。フォトモンタージュに大きな差異はない。サンセットについても代替施設の形状を工夫することにより、ともに同等程度に拝観可能。ともにB評価。
○浦添市西部開発としての関連性:キャンプキンザー跡地利用とリンクし、西海岸全体のイメージを上げていく、浦添の顔としての位置づけをする必要がある。南側配置案については、跡地利用、コースタルリゾート、及びクルーズ船バースがより一体的に配置されていることからA評価。北側配置案についてはB評価。
○環境保全:南側配置案、北側配置案の両案どちらの場合においても埋め立ての規模は基本的に変わらないことからB評価。
○陸上交通:南側配置案、北側配置案の両案とも道路の配置を工夫することによって三つの通行帯をきちんと確保できることから、ともにB評価。
【那覇港管理組合の考え方について】
民港は経済的に一体の港湾であることが求められる。経済的に一体の港湾とは、港湾の水域・陸域が一体的に機能し、民間船舶や港湾運送事業者等の経済活動が安全かつ効率的に一体として行えることである。経済的に一体の港湾として機能するためには、以下のことが必要になる。
1) 将来にわたって社会・経済の需要動向に対して柔軟に対応できること。将来の社会的ニーズや経済動向、貨物やクルーズの需要等の変化に対応し、施設の変更が対応可能となること。長期的な社会・経済情勢の変化があれば、その変化に応じた計画の変更が可能となる港湾とする必要があり、そのためには代替施設により一体的な港湾空間を分断してはならない。
2) 各ふ頭間、各施設間において相互補完できること。現状の需要に対応した施設配置としつつ、貨物需要やクルーズ需要等の急激な変化に相互補完して対応が可能となる空間であること。クルーズ岸壁と物流岸壁を一体的に整備することにより、クルーズ船や貨物船の利用が集中した場合に、物流岸壁及びクルーズ岸壁を相互補完して使用することなどにより、有効に活用することができる。
【座長による総括】
7月28日に第1回目の懇話会を開催いたしましたが、その冒頭で浦添市長から、これまで別々に議論されてきたキャンプ・キンザーの跡地利用、それから西海岸開発を連携させ、一体的に西部開発として捉えていただきたいというご発言がございました。また、この西部開発地域は、浦添市のみならず沖縄県の将来の発展に資する大きなポテンシャルを持った地域であり、継続的な発展が担えるような視点が必要であるとのご指摘もございました。
本懇話会ではこのような考え方をベースにして、さまざまなお立場の委員が、これまで決定された事実や事柄を踏まえ、共通認識した上で、広範囲な視点から総合的に計画案を検討してまいりました。また、西部開発に関しては、防衛省や沖縄総合事務局、沖縄県や那覇港管理組合など多くの関係事業者がおりますので、直接ご参加いただき、意見を拝聴してまいりました。本日、第4回目の懇話会において一定の結論を得ましたので、この場をかりてご報告をいたします。
本懇話会で想定した配置計画案としては、那覇軍港の代替施設を北側へ配置する案と南側へ配置する案の2案を主に検討いたしました。軍港の代替施設やクルーズバースなどは、想定ではありますが、具体的な議論を深めるために、一定の形状を有した浦添市検討案を採用いたしております。また、4月の移設協議会で示された、「港湾機能」「環境」「安全」の三つの評価項目につきましては、再度、懇話会で評価し直すとともに、広範囲な視点で総合的に評価を行うため、新たに六つの評価項目を追加し、合計で9項目について評価を行ってまいりました。
その結果、「港湾機能」「環境」「安全」「防災」「景観・眺望」「環境保全」「陸上交通」、以上の7項目については、北側案と南側案で有意な差異は認められませんでした。一方、「観光・交流・レジャー」及び「浦添市西部開発としての関連性」の2項目では、クルーズバースやマリーナ、リゾートビーチなどを集中的に配置する南側案が有利であるとの評価になりました。
以上のようなことを総合的に評価した結果、本懇話会では、代替施設を南側へ配置する案が望ましいものと結論づけましたので、その旨、ご報告をいたします。
しかしながら、北側案と南側案との優劣もしくは差異は、それほど大きなものではありません。評価項目のうちどの項目を重視するのか、あるいは現時点で具体化していない観点などがあれば、変化する可能性もございます。
また、評価項目の中で客観的には評価できませんでしたが、那覇港の将来的な機能強化や発展性あるいは変化、そういったものに着目をいたしますと、那覇軍港はその運用において国内法の適用がない、コントロールのきかない空間であり、南側案では民港と軍港が隣接することになり、土地利用や機能面において将来的な不安や危惧が生じていることも理解しておかなければならないことをつけ加えさせていただきます。これらのことを解決するためには、さらに詳細な検討や工夫を要するものと思われます。
昭和49年に全面返還が合意された那覇軍港につきましては、40年を超えてもいまだ移設・返還が実現しておりません。本懇話会での議論が、軍港の移設を含む西部開発の実現可能な計画を策定する上で、少しでもお役に立てれば幸いです。
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