記事番号: 1-6595
公開日 2017年11月01日
子どもと向き合える読み聞かせ 「オートリキシャ」で親子の時間を届けます
緑の三輪タクシー「オートリキシャ」に乗り、保育園や幼稚園、イベント会場で絵本の読み聞かせを行っているのは移動絵本屋「絵本の専門店もりほんや」代表の森平太さん(34)です。絵本の移動販売をする傍ら、絵本の楽しさやその魅力を伝えるために読み聞かせや講演活動を行う森さんは「元々本は好きではなかった。小さい頃に読んでもらったこともなく、家に本もない家庭で育った」と言います。
森さんが本に魅せられ読み聞かせに目覚めたのは、29歳の頃、子どもの誕生がきっかけでした。「子どもと遊びたいけど何を言っているかわからないし、すぐ泣くし、どう接していいかわからなかった」と初めての子育てに悩んでいた頃、教材販売の仕事で足を運んだ保育園の先生に子育ての悩みを相談し、そのときに勧められたのが絵本の読み聞かせでした。
「子どもが絵を指さし、声を出して喜んでいる姿を見て、子どもとコミュニケーションがとれていると実感しました。こんな接し方でいいんだと気づき、親としての自信がつきました」と初めて読み聞かせをしたときの感動を笑顔で振り返ります。スマートフォンで子守りをする人が増えているなか、親の声を間近で聞き、感情を一緒に共有できる“絵本”こそ親子の絆を深めるために一番良いと感じた森さんは、自分と同じように子育てに悩んでいる人にも絵本のもつ魅力を伝えたいと思い、バイト先のカフェで読み聞かせ会を企画します。
子どもが遊べるスペースと時間を設けた読み聞かせで親も安心してゆっくりとくつろげたこのイベントは親同士の交流の場にもなりました。「私の読み聞かせをとおして絵本の楽しさに気づき、親子が笑顔になってくれることがとても嬉しい」と読み聞かせ会にやりがいを見出した森さんは「地域のつながりが薄れている今こそ、交流の場を提供して読み聞かせの良さを広めるのは自分しかいない」という熱い思いから起業を決意します。
しかし、起業当初から移動販売を計画していたものの、資金不足から最初は学校現場への営業販売のみ。事業はそう上手くはいかず、二か月程で経営状態が悪化。今まで教材販売でまわっていた得意先も個人営業になるとあまり興味を持ってもらえず、自身の知名度と信頼度を上げる必要があると痛感します。
パキスタン製の三輪タクシー「オートリキシャ」を採用し移動販売を始めたのは、珍しい乗り物なら絵本に興味のない人たちも近寄ってくれるのではないかと考えてのこと。
周りの支えやフェイスブックなどで活動を積極的に発信したことにより少しずつ評価が高まると、徐々にイベントへの出演依頼が増え、活躍の幅が広がりました。
「もりほんやのコンセプトは本や読み聞かせに興味がない人にその良さを気づいてもらうことです。聞いているお父さんお母さんたちに“これなら自分にもできそう”と感じてもらえるよう、できるだけ自然に読むことを心がけています。上手に読もうと意識するのではなく、自分が面白いと思える絵本を読むことで自然と楽しさが聞き手に伝わります」と力強く語る森さん。
少しでも多くの人に「気づき」の機会を与え、子どもと関わる時間を増やしてもらうきっかけを作ろうと日々活動を続けています。これからも森さんはオートリキシャに乗り、読み聞かせの魅力を届けていきます。
森 平太(もり・へいた)(34)
絵本の専門店もりほんやの代表。浦添市勢理客出身。
25歳のときに結婚、29歳で子どもの誕生を機に読み聞かせの魅力に気づき、本格的に起業へと動き出す。
奥さんのサポートもあり、平成28年6月に「絵本の専門店もりほんや」を開業。浦添市創業者定着支援事業も活用し、事業の継続・発展に取り組んでいる。
【問い合わせ】☎ 080-1709-8494 E-mail.morihonya@outlook.jp
http://m.facebook.com/morihonya/
【イベント出店情報】
11月12日(日)バリアフリーオリンピック 浦添中学校体育館にて講演&販売