【ROAD】SP 春日 弘(俳優)さん(29.8)

記事番号: 1-1149

公開日 2017年08月10日

春日弘さん



映画出演俳優 現地を巡り、声を聴き自らを語る



6月24日(土)に公開された映画『ハクソー・リッジ』。

日本公開時に日本に居たいと心に決めていた一人の日本人俳優がいます。

日本兵役として同作に出演した春日弘さん(48)



 春日さんは、徳島県出身で現在オーストラリアに在住し俳優業の傍ら旅行業にも携わり、自身で短編映画の制作を手掛けるなど多方面で活躍している人物です。

 日本公開日に合わせて日本での仕事を入れ、帰国した春日さん。知人のSNSにデズモンド・ドスさんの話を「おじいやおばあからよく聞かされた」という内容のコメントを目にし、ぜひ話を聞きたいと抱えていた仕事をこなし、映画公開初日に来沖します。

 そして公開翌日、伊祖グスクにおいて、春日さん来沖のきっかけとなったSNS投稿者の市在住下條綾乃さん・達也さん夫妻と対面します。

 いろいろな思いが巡った下條さんは春日さんと出会った瞬間に涙します。下條さんは、映画が注目されるようになってから、おじいやおばあが話していた武器を持たない米兵の話を思い出し、家族らとおじいおばあが話していた米兵は「絶対に映画の主人公デズモンド・ドスさんだよね」ということを確認しあったと話します。

 春日さんは下條さんの涙を見て、「僕が関わった作品をきっかけにして思いを馳せる人がいることが分かりました。この映画に関われたことを誇りに思います」と声をかけます。下條さんは涙をぬぐい、せきを切ったようにおじいおばあから聞いた話を語り出しました。



 住民みんなが逃げる中、伊祖グスクの壕に隠れた話、栄養が足りず命の危機にあった赤ちゃん(下條さんの父)を米兵に助けてもらった話など、想像を絶する内容に春日さんは真剣な眼差しで耳を傾けました。

「アメリカーは優しい。あなたのお父さんはアメリカーに助けられた。恩返ししないさいよ」と下條さんのおじいおばあは生前繰り返し言っていたと言います。

「だからと言って日本兵が悪いとかそういうことは一切言いませんでした。いろいろな人の助けがあって命があることに感謝して生きなさい」そう言われた下條さんは、社会人となった今、縁あって基地内で日本語を教える先生として活躍しています。「浦添市が激戦地だったということは浦添市民も中々知りません。歴史教育で語れるのは嘉数高台や摩文仁のことが多い。実は浦添市も激戦区だったということを、浦添市民および県民が知るきっかけになる映画になって欲しい」と下條さんは願い、春日さんもうなずきます。

 



映画『ハクソー・リッジ』の過酷な撮影から平和を実感



 春日さんが『ハクソー・リッジ』へ出演することになったのは、オーディション。役者としての募集が無く、エキストラの募集のみでしたが、「どんな時にチャンスが巡ってくるかわからない。現場に行けば配役のチャンスがあるかもしれない。チャンスを勝ち取るんだ」という思いで撮影に参加し、見事配役を射止めます。

 そして15年9月、映画のクランクイン。ロケ地はオーストラリアのキャンベルタウンで撮影は約3か月に及びました。日中はうだる様な暑さに、夜は凍えるほど寒く、昼夜の寒暖差がある環境の中で、実際の銃などを抱えて足場の悪い中を走り回る、擦り傷が絶えない過酷な撮影が続きました。「実際の戦場とは決して比較できるものではありませんが、撮影現場とは言え、終始爆発が繰り返され、火炎放射器を使ったシーンの撮影では2、3メートル離れたところにいても熱風で目が開けられないなど戦場さながらの状況でした。撮影という疑似体験を通して、改めて戦争は起こるべきものではないと実感しました」と平和への誓いを新たにしたと春日さんは語ります。



 貪欲に挑戦を続ける春日さんですが、役者を目指す若い人に思うところがあると言います。「若い役者志望の人の中には“エキストラだから”という理由で挑戦さえしない人もいます。若い世代にこそ欲が必要。しのぎあいやせめぎあいがあってこそいいものが作れる。もっと貪欲に挑戦してほしい」と。自分を鼓舞するかのように役者を目指す人にエールを送りました。

 SNSでの出会いに始まり住民目線の沖縄戦の一部を垣間見た春日さん。

「実際に現地に来ないと分からないことがある。ガイドさんに付いてもらいながら現地を回ることで、激戦地だったということへの理解が深まります。それぞれ何ができるのか、映画をきっかけにしてその入り口を見つけてほしい」と語ると共に、「今回の出会いは新たな挑戦へのモチベーションになりました」と自身の飽くなき挑戦への意欲を見せました。

 



春日 弘(48)

 昭和43年10月16日生まれ。徳島県出身。学生時代に米国へ留学したことをきっかけに、海外で働くことだけを考えて豪国へ駐在員として赴任。縁あってハリウッド映画への出演を果たし演じるということに魅せられる。演じることのみならず制作する側としても環境を整え、一本劇場映画を制作したいと挑戦意欲は尽きない。座右の銘「意志あるところに道は通ずる」。出演:『ウルヴァリン:SAMURAI』『不屈の男アンブロークン』『ハクソー・リッジ』



 


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