記事番号: 1-5200
公開日 2017年12月27日
立ち並ぶ橋脚、新しく開かれた道、変わるまちの姿
全国の市および東京23区のうち、住みよい街2017ランキングで第9位に入り注目されている浦添市。
さらなる生活の利便性の向上を目指し、沖縄都市モノレール延長事業は順調に工事が進んでおり、2019年の開業を予定しています。
完成に向けてラストスパートをかける「ゆいレール」とまちの様子を紹介します。
ゆいレールの延長ルート
石嶺駅から経塚駅へ:山を崩し橋をつくる
ゆいレールはこれまでの「終点」であった首里駅から左折し、首里汀良町から石嶺町方面へと進みます。沿線には「首里りうぼう」があり、やがて県道241号線につながりますが、ゆいレールが延長されるまで、この辺りは小高い丘陵が存在し、浦添市と那覇市を隔てる壁のようになっていましたが、ここが大きく崩されて交差点が形成され、ゆいレールが浦添市へと入ってきます。
この交差点近くの丘陵には、ちょうど前田から沖縄国際センターの裏手を通って行く道路がありましたが、崩されたことにより道路が無くなったため、新しく橋が建設されることになりました。
この箇所は、ゆいレールの路線で唯一、ゆいレールの走行する様子を真上から望めるスポット。那覇市から浦添市へと進んでくるゆいレールの車体にカメラのシャッターを切るには絶好のスポットとなります。道路・ゆいレール・橋梁が縦に3層で重なり、かつ交差するという道路の構造から見ても面白いポイントになります。
交差点を抜けて浦添市内へと入ってきたゆいレールは、大きくカーブして前田トンネル方向へ向かいます。その下は「国際センター線」という道路が走っています。
上空から見ると、このような様子となります。この写真の左奥に見えるのが「前田トンネル」。 その手前に「経塚駅」が建設され、左手には経塚公園が整備されます。
「経塚駅」の完成予想図です。徒歩圏内にはサンエー経塚シティがあり、近隣に住まわれる市民なら帰宅時の買い物も便利。公園や緑も多く、子どもたちとゆったりとした休日を堪能できるエリアとなります。 ゆいレールを利用して通勤・通学する人が増えれば交通量が減りますから、安全なまちの実現へと期待が高まります。
経塚駅〜浦添前田駅:トンネルを超え浦添城跡へ
当初の案では前田トンネルをそのまま越えていくというアイディアもあったようですが、実際には前田トンネルを迂回するように橋脚が建設されています。 ちょうどこの前田トンネルの上にあるのが、玉城朝薫墓です。伝統芸能「組踊」の創始者である玉城朝薫は、この浦添の地で静かに眠っています。
前田トンネル(玉城朝薫墓)を右に迂回した橋脚は、再び道路(国際センター線)の中央に戻っていきます。
目の前には沖縄国際センターがありますが、その近くで間近から橋脚を見上げると、かなりの高さからゆいレールが進行していくことが解ります。
いったい、どのような景色が見えるのでしょう。
少し遠景からこの路線を見てみます。画面右奥、前田トンネルがある所が大きくカーブを描いているのが解るかと思います。
やがて国際センター線は県道38号線へとつながり、ゆいレールも県道38号線の西原町方面へと大きくカーブをしていきます。
画面左側には「浦添前田駅」が見えます。
「浦添前田駅」の高さから、浦添市はこのように見えます。那覇市方面から東シナ海、浦添城跡が一望にでき、美しい景観が期待できます。
「浦添前田駅」の完成予想図です。駅前には交通広場が整備され、路線バスやタクシーからゆいレールへの乗り継ぎがスムーズに。国指定史跡「浦添城跡」の最寄駅となるため、首里城から来る観光客の利用も期待されます。
よく質問が寄せられる「“浦添”前田駅」という名称ですが、実は宮崎県にも「前田駅(日向前田駅)」が存在します。
多くの人が利用するルート検索プログラムでは、この駅を「前田駅」と表記する事例が多くあります。このまま駅名を「前田駅」としてゆいレールが開業した場合、例えば「首里駅」発「前田駅」着で検索をすると、那覇空港から宮崎空港へ飛び「日向前田駅」へ向かうルートが示されてしまうことが予想されます。そうなると、多くの観光客が移動ルート検索に混乱を来す可能性があります。そうした点を考慮した上で、「浦添前田駅」となったのではないでしょうか。
浦添前田駅〜てだこ浦西駅:トンネルをくぐりいよいよ終着駅へ
「浦添前田駅」を過ぎると、ゆいレールは県道38号を浦添消防署方面へと向かっていきます。ここから橋脚の高さがだんだん低くなっていきます。
この写真だと前田トンネル前であれだけの高さがあった橋脚が地面に設置するかのように低くなってきているのがよく解ります。
その理由は、この全国のモノレールでも珍しい「巨大なトンネル」が県道の中央にあるから。ゆいレールは、このトンネルをくぐり抜けて沖縄自動車道との結節点となる終点「てだこ浦西駅」へと向かうこととなるわけです。
このように県道38号線の地表から、高低差のある「てだこ浦西駅」へ向かい、約600mの地下空間を通り向かうこととなるのです。
トンネルを抜け、宜野湾市から那覇市へと向かう県道241号の下に出口が設けられ「てだこ浦西駅」が建設されます。
駅の隣には新たに西原町から浦添市へと至る県道の整備が進んでいます。また、付近は浦添市だけでなく西原町も区画整理事業が計画され、新しいまちづくりが着々と進んでいます。
ゆいレールの新しい終着駅、「てだこ浦西駅」の完成予想図です。
付近にはパーク&ライド駐車場が設けられることとなっており、沖縄自動車道とリンクさせることで中北部から来た人は車→ゆいレール、またレンタカーを活用して中北部へ向かう観光客などはゆいレール→レンタカーで北上、という新しい交通体系が実現します。
周辺には大型商業施設も予定されるなど、まちの様子が大きく変貌していくこととなります。
ゆいレールに期待できること
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時間を短縮し定時・定速で走行
交通渋滞の影響を受けず、定時・定速で運行され、那覇市内・空港への移動がスムーズになります。 -
交通渋滞を緩和
公共交通への転換によって交通渋滞が減り、時間短縮をもたらします。また、交通事故や排気ガスの減少により安心・安全なまちづくりにつながります。 -
沿線地域の発展
駅が交通の要としてまちづくりの核となります。また、土地の有効活用で市街地整備を促進し、地域の活性化に寄与します。 -
バスやタクシーへの乗り換えが便利
主要な駅を軸としてバスやタクシーなどと連携することにより、市内の移動時間を短縮し、利用者の利便性・快適性を向上します。