【ROAD】17 西原大裕さん(30.01)

記事番号: 1-6860

公開日 2017年12月27日

練習風景



笑顔輝く鼓衆太陽子(ちじんしゅう・てぃーだぬふぁー)をいつまでも



 ドンドンドンと太鼓を叩く子どもたち。大地を震わすような太鼓の音が響く中、子どもたちを熱心に指導するのは「太陽子(てぃーだぬふぁー)」の指導者である西原大裕さん(36)。西原さんが指導を務める「太陽子」は、浦添を拠点に活動する琉球和太鼓集団「鼓衆(ちぢんしゅう)」グループの1つ。4歳から高校生までの約30人で構成され、和太鼓を中心に、創作エイサーや獅子舞など沖縄の伝統芸能にも取り組みます。伊祖子ども会からスタートした活動は今年で23年目を迎えました。



 



練習風景



 今でこそ指導する立場となった西原さんですが、自身も初めは太陽子の練習生でした。太陽子に入るきっかけとなったのは、西原さんが中学2年生の時、初代指導者の銘苅さんにかけられた「夜遊びするくらいなら太鼓を叩け」という一言でした。練習場が家に近いこともあり軽い気持ちで足を運んだ西原さんでしたが、子どもたちと真剣に向き合う銘苅さんに心打たれます。メンバーはひとり親世帯の子が多く、銘苅さんは自宅で孤独な時間を過ごす子どもたちを家に呼び、一緒にご飯を食べ、勉強も見てくれました。西原さんにとって、銘苅さんは指導者であり第二の父親のような存在。「気がつけば、ここが私の居場所になっていました」と当時を振り返ります。

 その後、銘苅さんから2代目の指導者を任された西原さんは「本当に自分にできるのか不安でしたが、任された以上やるしかない」と指導者として太陽子を受け継ぐことを決意します。



 



集合写真



 西原さんが指導する上で何よりも大事にしているのはコミュニケーション。子どもたちとは学校生活から恋愛のことまでとにかくたくさん会話をし、保護者とも連携して、子どもたちの悩みや不安をなくしていけるよう心がけています。練習だけではなく、ビーチでのバーベキューや野菜の収穫体験、キャンプなどのイベントも行い、チームワークの良さにつなげています。「個人の状態やメンバーの関係性が演技中の表情やバチの音に出てしまう。半端な気持ちでは人前で芸を披露することはできません。最高の演技を披露するためにはコミュニケーションが大切なんです」と熱く語ります。



 



収穫の様子



 西原さんが指導していてよかったと思うことは、子どもたちの成長を感じられること。小学校高学年の子どもたちが低学年以下の子どもたちの面倒をみてくれたり、イベントの中身を自分たちで考えたり、話の仕方や話を聞く姿勢など様々な場面で日々成長を感じています。保護者からは「本人の自信につながっている」とうれしい声を聞くこともあります。

「太陽子」の指導者となってから10年。「苦労していることは何もない、ここまで続けていられるのは子どもたちがいるから。ここを居場所とする子どもたちがいる限り、それをなくすことはできない」と西原さんは力を込めます。



 



演技する子どもたち



「和太鼓や沖縄芸能だけでなく、社会に出ても自立していける力を学べる環境づくりや指導者の育成などにも力を入れていきたい」と西原さんの思いは尽きません。西原さんの声が響く「太陽子」の練習場には、太陽のように明るい子どもたちの笑顔が溢れています。



 



西原大裕さん西原大裕(にしはら・だいすけ)さん(36)

 鼓衆若太陽(わかてぃーだ)所属、太陽子(てぃーだぬふぁー)の指導者。

 毎年恒例のクリスマス会が楽しみ。子どもたちをプレゼントのあるクリスマスツリーまで抱っこして連れて行くときに、成長を実感している。

 てだこ未来応援員として学校や居場所づくりを行う関係機関と情報共有をし、子どもたちの支援につながる調整を行なっている。



メンバー募集・出演依頼 TEL:070-5532-4994

URL http://tijinshu.jp/

【出演イベント情報】

 第31回 杜の賑い沖縄2018

〈期日〉平成30 年1 月20 日(土)、21 日(日)

〈場所〉沖縄コンベンションセンター展示棟


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