記事番号: 1-3912
公開日 2018年03月12日
平成29年度 浦添市南米移住者子弟研修生受入事業
浦添市では、昭和63年より毎年、浦添から南米に渡った移住者の子弟を研修生として迎え入れています。
研修生は7月から12月までの5か月間、日本語研修や琉球舞踊、三線、書道、華道といった文化研修のほか、企業訪問や地域交流を通して沖縄・日本の文化を学びます。帰国後は、研修で得たことを母国に伝え繋ぎ、本市との架け橋となることが期待されています。
今年度は、ブラジルから新垣ファビオいさむさん、アルゼンチンから岡山ダイアナアレハンドラさんが研修に参加しました。
海の向こうのオキナワ
地球の反対側からきた研修生をじっと見つめる子どもたち。今年度は、港川・沢岻・浦城小学校を訪問し、「移民」について紹介しました。
子どもたちは、2人の先祖が浦添出身であることや現地に根付く沖縄文化を知り、互いの距離を一気に縮めます。子どもたちは、「僕の親戚も南米にいるかな」、「沖縄で生まれた私よりも沖縄のことを知っている」と関心を寄せ、海の向こうにあるオキナワを感じたようでした。
「ふるさと」に返ってきた2人を温かく迎え入れた子どもたち。研修生と子どもたちは沖縄の精神いちゃりばちょーでーの心で絆を深めました。
文化を学び、ルーツをたどる
「ふるさと」の文化を知るため、その言葉を知ろうと必死に勉強に励んだ研修生。日本語学校で仲間と共に学び、着実に上達していきました。
初めて三線の弦を弾いたときからその音色のとりこになってしまったファビオさん、琉球舞踊を舞うと、幼い頃踊りを教えてもらった祖母との記憶が鮮やかに蘇るというダイアナさん。待ち焦がれた文化研修では、喜びをかみしめながら、点と点を繋ぐように、ルーツをたどりました。
また、企業訪問では、日本企業の作業の流れや伝統工芸に触れ、多くの刺激を受けました。
広告会社勤務の経験を持つファビオさんは、「株式会社宣伝」で、チームワークの大切さを実感しました。
以前から紅型に興味があったダイアナさんは、「やふそ紅型工房」で実際に製作に励み、母国でも紅型の良さを広めたいと語りました。
別れ、そしてはじまり
平成29年11月29日、いよいよ研修の成果を発表するときを迎えました。親戚、研修の先生、友達…。お世話になった多くの関係者に見守られるなか、琉球舞踊「鳩間節」「かなよー」を舞い、三線を堂々と弾き語りました。最後には、5か月間の経験を経て、溢れる想いを込め、涙ながらに日本語でスピーチし、修了式・送別会は幕を閉じました。
2人は、それぞれの切符を手に帰路に着きましたが、それはまだスタート地点に過ぎません。すでにブラジルではファビオさんが従弟や親戚に三線を教え、アルゼンチンではダイアナさんが、浦添にルーツを持つ若い世代と研修の経験を分かち合っています。そして、3月にはそれぞれ現地市人会の新年会で、研修の成果発表を控えています。
研修生のルーツにかける熱意は、沖縄に住む私たちにも、新たな気づきを与えてくれます。この出会いを大切にすることで、海を越え、世代を超え、さらなる絆が広がるかもしれません。
「ただいま」「発見」「感謝」3つの言葉。 新垣ファビオいさむ
私の沖縄の研修は、「ただいま」「発見」「感謝」の3つの言葉で表せます。
自分のルーツ、お父さんの故郷、沖縄・浦添というおうちに戻って、親戚やたくさんの親切な人たちに会い、第一の言葉は「ただいま」になりました。皆さんからのすべての教えが、新しい事に気付かせてくれて、私の中で「発見」という言葉になりました。そして、ウラシーンチュの皆さんに「感謝」の気持ちでいっぱいです。イッペーニフェーデービル!
浦添で学んだことは、ブラジルでも伝えていきたいと思います。
夢をかなえることができました。 岡山ダイアナ アレハンドラ
沖縄に来る前、私はとてもマチカンティーしていました。子どものころから、ひいおばあさんが生まれたふるさとに行くことを夢見ていたからです。
浦添市の研修に参加して、その夢をかなえることができました。この経験をずっと忘れることはありません。
沖縄の人は、家族のように優しくて、最初からそのイメージは変わりません。浦添市の皆さん、親戚の皆さん、友達に感謝しています。本当にありがとうございました。