株式会社国際ビル産業『従業員が一番の財産!“プロの裏方”を育てる組織作り』

記事番号: 1-12875

公開日 2024年11月13日

 

 総合建物管理業として創業56年を迎えた、株式会社国際ビル産業。「従業員ファースト」の組織づくりをどのように推進しているのか、企画人財部の方に伺いました。

  

   執行役員/企画人財部 部長 杉本佳隆さん

私たちが請け負う主な業務


 お客様の安全・安心・快適・清潔な環境を作ることが仕事です。「清掃」「設備管理」「警備」「各種工事」「特殊建物検査」など、施設のメンテナンスや管理などに関する様々なことを請け負っています。
 たとえば清掃業務ではオフィスビル、ホテル、公共施設、大型商業施設、医療施設などの清掃を行います。未経験者でも丸1日かけて清掃のやり方など基本的なことを研修し、その後現場で1か月ほどかけて先輩などから指導してもらいます。感染症に特化したインフェクションコントロールアドバイザー(感染管理認定看護師)が従業員におり、事業所を回って感染症予防の教育も行っています。嘔吐物の処理方法など実践を踏まえた研修や、特に病院勤務者には使用済の注射針の針刺し事故防止の指導などもしっかりと行います。
 警備業務は、24時間365日建物内外の保安を行います。機械警備や遠隔監視設備などの高度なセキュリティシステムに対応できる知識・技術も必要とします。
 また、施設管理は電気、空調、消防、空気環境測定や害虫駆除など、免許や国家資格が必要な業務を担います。建物の保守点検、消防用設備の法定点検、修繕計画の提案なども行い、体力の要る業務です。

 

“働きやすい職場づくり”への取り組み


 当社は10代から70代まで1,300人弱の多様な従業員が、ライフスタイルに合わせた働き方で活躍しています。採用年齢の上限は設けておらず、65歳以上の方も頻繁に面接に来られます。健康でしっかり動ける方に業務についていただいています。

 

産前・産後休暇についての取り組み

 
  女性従業員は、産前産後の休暇を確実に取っています。子育て中の方も多く、シフト調整にも柔軟に対応しています。男性従業員の育児休暇も就業規則に明記しています。取得は本人の希望なので、実際に取得したのはまだ少数ですが、もうすぐ生まれるという情報があれば広報し、休みを取りやすい体制は整えています。

 

女性の管理職登用と効果

 
 女性の管理職は現在、課長2名、次長1名の計3名です。本社の総務と営業、それから中部支社の建物調査診断部に在籍しています。勤務歴が長く現場からの信頼が厚いので、要望やハラスメントに対応しやすく、相談を受けた場合は担当部署や顧問の社会保険労務士と連携を取りながら解決に繋げます。全社では部門長が14名、課長が34~35名いるので、その中で女性の管理職はまだ1割未満ですが、今後登用できそうな優秀な方もおり、メリットも非常に大きいので、増やしていきたいと考えています。

 

長時間労働の是正

 
 ビルメンテナンス業はシフト制の勤務が多く、例えば設備管理業務などは、雷や台風などの自然災害時は待機となるため労働時間が増えることもありますが、年間を通じて、労働基準法の残業時間の上限を超過しないよう指導しています。以前は、勤務記録が出て初めて残業の状況を把握していましたが、労働安全衛生委員会を毎月開催し、その中で各部門の残業時間を報告・把握する体制に切り替えました。この2年ほどでかなり改善されています。

 

従業員の健康管理


 例年4月から5月にかけて、労働安全衛生委員会の中で健診の予約と計画的な受診を促しています。健診結果は会社に届きますので、産業医に見てもらい、精密検査要件の指摘がある方には指導が入ります。必要があれば産業医の面談を受けて、受診につなげる流れになっています。労働安全衛生委員会の中で、感染症などの状況や熱中症の指導なども行っています。安全と健康の情報を発信する広報誌も毎月1冊ずつ出しており、それを各事業所や現場で掲示してもらい、従業員に普及させるよう取り組んでいます。
 

 

多様な人材の能力を生かす工夫

 

障がいを持つ方の雇用と育成


 毎年、県内の高等支援学校から数人を正規採用しています。特に清掃の現場で活躍しています。複数の現場を1人で任せられる優秀な人もいますし、多くが車の免許を取り、自身で移動しています。障がいがあっても、やる気や一つの動きに集中することにかけては、優れている人が多いです。それぞれの現場責任者や現場の先輩が後輩をしっかり指導する育成の循環もできています。

 採用の主な流れとしては、まず就労体験で受け入れます。現場を知り、やりがいを感じた上でこの仕事に就きたいと希望する人が入社するため、定着率は比較的良いと思います。当社も加入している沖縄県ビルメンテナンス協会にも、就労支援ネットワークというものがあり、協会としても支援学校や就労支援施設などとの連携をとりながら障がい者雇用の流れを作っています。その一環として協会に、各学校で行う清掃ビルトータルクリーニングという清掃に関する検定があり、各学校で審査をするシステムを作って『○〇検定 何級』という認定を行っているんです。学生たちがその検定で自信を持ち、併せて就労体験を行うことで、仕事として選んでもらえる流れができている。ビルメンテナンス協会に所属している各清掃会社が一体となってやっていて、障がいを持つ方々の自立にも繋がっています。彼らに早いうちからこの道を選んでもらい、じっくり育てられるような会社にしたいと思っています。
 

    県の障がい者雇用推進企業として登録されています。

 

 

外国人労働者への支援

 
 ネパールの語学留学生を客室清掃員としてアルバイト雇用したことが、外国人雇用の始まりでした。技能実習制度(※) ができてからは、実習生として雇用するようになりました。現在当社ではベトナムの方々がメインで就業しています。これまでに延べ80人近くを雇用し、現在も40人弱が在籍しています。技能実習生から特定技能に移った方が4名おり、先輩として技能実習生を指導できるほどの高い語学力と技術力でがんばっています。就業現場からは、お客さまに対する対応など含めて非常に評判が良く、日本人雇用の機会が少なくなっている中で、外国人労働者は大変重要な存在です。現在は日本に帰化されているベトナム人マネージャーが在籍しており、生活指導から職場の技術指導まで全てにおいてのコミュニケーションを担っています。
 

※2024年6月に技能実習制度の廃止と育成就労制度の導入が参院で可決。労働者の人権を守る制度として今後再構築される。

 

 

100年企業を目指した組織づくりへの取り組み

 

人を育てるための研修を手厚く


 新入社員に対しては4月の新人研修に加えて7月にもフィードバック研修を行っていますが、新入社員を指導する教育担当者への研修も事前に行っています。教育プログラムの担当者は人事担当者ではなく、各部門の現場で指導ができる係長クラスの職員を毎年選任し、事前研修を受けてもらいます。同じ人ばかりが研修を担当していると偏りが出かねません。人を育てる人も育て、いろんな人が教育できる形を作るべきだという考えです。意識をアップデートすることで、ハラスメントの抑制や、時代に応じた指導にも繋がります。

 研修は、全国で最先端の色々な現場を見てこられた東京のコンサルティング専門の方に長年依頼しています。社員のプレゼン力や指導力、管理能力が少しずつ上がってきていると感じています。新入社員研修、主任研修、役員研修などのレベルに応じた研修を、年に5~6回依頼しています。先日も丸2日かけて、中長期組織体制を考えるトップ研修を、各部門の長や役員が集まって行いました。うるま市にある“タップホスピタリティラボ”(※) という施設を見学も兼ねて利用しましたが、最新技術を体感し面白い研修になりました。
 

※産学官連携により観光・宿泊業界におけるDX推進につながる実証実験を行う世界初の施設
 

  

 

ボランティアと環境への配慮

 

    当社は県内SDGsパートナーの登録企業で、各種施策に積極的に取り組んでいます。その中でも環境保全への取り組みとしては、過去には自社のボランティア清掃で、西海岸線の掃除を行っていました。最近ではビルメンテナンス協会が年に2回ボランティア清掃を開催しており、そちらに参加しています。先日も協会所属の会社から120~130人が参加し、てんぶす館から国際通り一帯の清掃を行いました。

 清掃業務も行っている会社ですので、清掃に対してはボランティアであっても社員は意欲的に参加しようという意識が高いと思います。環境に配慮した清掃資機材も積極的に導入するなど、常に未来へと意識を向けられる企業でありたいと思います。
 

  

 

福利厚生と共済会

 

 当社には福利厚生の増進を目的とした共済会があります。月々会費を集めて、バス旅行やバーベキューパーティー、忘年会などを毎年企画しています。会社としても北谷のサンセットビーチを借り切ってのバーベキューやホテルでの新年祝賀会を、毎年500人規模で開催しています。コロナ明けで久々に企画した今年のバス旅行には、多くが家族連れで参加され、宜野座でのイチゴ狩りや勝連城跡見学、ランチバイキングなどを楽しみました。従業員で集まる機会が1年に5~6回ありますが、他部署の方々とのコミュニケーションを取るいい機会にもなっています。テニスやバドミントン、ゴルフ等の同好会もあって、会社から補助も出ますし、ビルメンテナンス協会主催の運動会にも参加しています。
 

   

従業員が一番の財産


 私たちは『現場第一線で誠実に働く従業員を財産とし、常に大切にする』ことを経営理念の最初に掲げています。お客様のために一生懸命に働いてくれる従業員を守り、働きやすく改善することをモットーとし、「人をしっかりと固めることによって組織も固まっていく」ことを常に意識してきました。従業員の“ウェルビーイング”な状態が、お客様の幸せにもつながり、お客様の資産である建物が長持ちする。そのように幸せが循環し、ビルメンテナンス業として100年先まで成長し続ける企業を目指します。

 

●取材を終えて●

 
 「たとえば清掃の仕事は、現在ではクリーンクルーなどと呼ばれるようになりました。ディズニーランドなどで清掃される姿を見て“かっこいい!”と感じる人も増えています。清掃業務に関わらず、従業員が自分の仕事を誇らしく感じられ、ビルメンテナンス業を仕事として選んでもらえるように、これからも尽力します。」そう話してくださった杉本さん。プロの裏方として“メンテナンスが行き届いていることがあたりまえの状態”を陰で支えているという誇りを感じました。

 

★ 社員の方へインタビュー ★

 

葉月 那海英 さん(所属:企画人財部 役職:外国人マネージャー)

 

    

Q1 仕事内容を教えてください。

  日本で安心して働けるため、ベトナム人従業員のサポートをする仕事をしています。主な仕事内容はベトナム語と日本語の翻訳・通訳、ベトナム人従業員の通院支援などです。

 

Q2 これまでのキャリアについて

 

 ベトナム人技能実習生の採用・教育、ベトナム語と日本語の翻訳・通訳など。

 

Q3 仕事でやりがいを感じるところはどこですか。

 

 外国語のスキルで人の役に立てる、ベトナム人と日本人をつなぐことへの充実感、さまざまな知識を得ることができるところです。

 

Q4 職場の働きやすさのポイントを教えてください。

 

 丁寧に教育やサポートをしてくれる上司がいる、なんでも話せる上司と同僚がいる、休暇が取りやすい、仕事内容が自分に合う などがポイントだと思います。

 

Q5 今後の意気込みをお願いします。

 

 ベトナム人従業員によりよくサポートできるよう業務の知識を増やしていきたいと思っています。

 

 

當間 尊さん (所属:美装部(清掃)) 

     

Q1 仕事内容を教えてください。

 現場作業はもちろんのことですが、その「作業」に関わる報告書や請求書の処理、現場調査なども行っています。

 

Q2 これまでのキャリアについて

 

 未経験で清掃部門に入りましたが、当時はいろいろと戸惑いました。「清掃」の奥深さを知り、より一層「清掃」のことが好きになりました。

 現在は、同僚達を支える役割を担いながら、新卒入社の新人育成にも注力しています。

 

Q3 仕事でやりがいを感じるところはどこですか。

 

 お客様からの感謝の言葉をいただいたときは、とてもうれしいですし、次回も同じ言葉をいただけるように頑張ろうと思います。

 

Q4 職場の働きやすさのポイントを教えてください。

  

 会社全体の雰囲気として、先輩と上司の関係が良好で、アットホームな会社だと思います。

 

Q5 今後の意気込みをお願いします。

 

 新人社員が長く働けるような職場環境づくりを心掛けながら、日々の業務に取り組んでいきます。 

 

 

代表者メッセージ

 

 株式会社国際ビル産業 代表取締役社長 酒匂敏行と申します。

 弊社は、1967年(昭和42年)11月8日に伊佐眞義氏を代表に地元沖縄の名士の出資を戴き、ビルメンテナンス業を那覇市崇元寺石門前の沖縄実業様社屋2階の一室にて、地場産業として創業致しました。それ以来56年、地元の皆様の貴重な財産である建物を、我々地元企業の従業員により、安全・安心・快適かつ環境に配慮しながら、維持管理してまいりました。
 長らく行動制限されておりました新型コロナウィルス感染症への各種規制が緩和され、沖縄県の観光産業が活気を取り戻しつつある中、以前にも増して、我々ビルメンテナンス業界への期待と役割が大きくなってきております。我が社としましては、これまでご愛顧いただいた全ての皆様に心から感謝を申し上げますと共に、1,300名の従業員の皆様と一致結束し、県内における建物管理のパイオニアとして、ワンストップサービスに邁進し、お客様へよりご満足戴ける安全・安心・快適な住環境をご提供してまいります。
 また、従業員の皆様におかれましても、ご家族を含め「幸せ(well being)を共有できる環境作り」を目指していく所存でございますので、倍旧のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
謹白

  

  株式会社国際ビル産業
  代表取締役社長 酒匂 敏行

会社概要

株式会社国際ビル産業
 設 立  :1967年11月8日
 代表者  :代表取締役社長 酒匂 敏行
 業務内容:総合ビルメンテナンス業

 

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