記事番号: 1-12700
公開日 2024年09月19日
浦添城跡の発掘調査
浦添城跡では、かつての姿を復元することを目指し、発掘調査を進めています。
ここでは平成29年度から令和4年度に、「外郭南地区」で行った発掘調査の成果を紹介します。
(調査区の全景)
この場所では、14世紀後半に築かれたと考えられる外郭城壁の一部が発見されました。
浦添城跡の発掘で見つかった中では、最も良好な状態で当時のままの石積みが残存していました。
最大で高さ約2.5m・12段の石積みが残存していたことから、浦添城跡の城壁の構造や築造技術にまつわる特徴を観察することができました。
【布積み】
遺構を観察すると、方形に加工した琉球石灰岩を積み上げる「布積み」という技法で築かれた様子をみることができます。
【目地の通る石積み】
浦添城跡の石積みには目地(石と石の合わせ目)が一直線に並んだ「目地が通る」様子がみられます。
縦横に目地が通る積み方は、浦添城跡の他の地点でもみられることから、浦添城跡の石積みの特徴と考えられます。
【間詰石】
また、切り石と切り石の間に小石が挟まれる様子があちらこちらでみられます。
これは間詰石と呼ばれ、隙間を埋めることで石積みの強度を上げる技術であると考えられます。
【琉球石灰岩の破片の堆積】
上の写真では、城壁の真下に白い土が広がっている様子がみられます。
これは石灰岩の細かな破片が堆積しているもので、切石を積み上げながら、石の表面や合わせ目を整えるための細かい仕上げの加工をした際に落ちて溜まった石片と考えられます。
【ニービの切石】
石積みは基本的に琉球石灰岩が使用されていますが、この地点では砂岩の切石が3点用いられている様子がみられました。
石積みの一段目ないし二段目にあることから、石材の不足とは考えにくく、異なる石材を用いた理由ははっきりしません。
【城壁の位置】
浦添城跡の外郭城壁は、基本的に切り立った崖の際に構築されますが、この地点では一部が崖際から離れた位置に造られています。
この地点でのみ、崖際から離れて造られたのか、その理由はいまのところはっきりしていません。
【石積みを埋める石灰岩礫】
調査前、この地点の城壁は完全に埋没していました。
発掘してみると、石灰岩礫で城壁が埋まっている様子が確認できました。
この石灰岩礫は城壁の裏込に用いられたものとみられることから、発見された城壁は元々はさらに高くまで積まれており、崩落したことで城壁の下部が埋まったのだろうと考えられます。
崩落したのがいつのことかは不明ですが、沖縄戦の頃までには既に埋まっていたものとみられます。